次に、グローバル人材に求められる要件について、触れたいと思います。
グローバル人材に求められる要件の前提条件として、以下の2点が挙げられます。
1.異国の文化や価値観、考え方を理解すること
2.異国で働きたいという意欲、モチベーションを持っていること
意欲、モチベーションがない人が、会社の命で海外赴任した時に、うつ病などの精神疾患にかかって帰国を余儀なくされたという話を聞くことがあります。私も、2週間で帰国した人に遭遇したことがありました。
これら前提条件のもと、求められる要件として、大きくは、以下の2つの能力があると考えています。
1.コミュニケーション能力
異国でコミュニケーションをとるうえで必須であるのが、語学力です。最低限の語学力がないと、現地スタッフと意思疎通を取れないために、業務遂行に支障が出てしまいます。
しかしながら、コミュニケーション能力が備わっていないと、仮に語学力があってもダメです。具体的には、日本において日本語で、概念的、論理的に考え、相手に伝えることのできる能力が身についていないと、いくら語学力があっても、ビジネスにおけるコミュニケーションはうまくいきません。曖昧で情緒的な言葉で通用する日本とは異なり、外国では、論理的で明確な言葉で伝えないと相手には伝わらないことを、肝に銘じておくべきでしょう。
2.マネジメント能力
現地法人の社長、マネジャーなどマネジメント層にはやはり、マネジメント能力が必須です。国内と海外でのマネジメントの違いはあるものの、マネジメントの根本に変わりはありません。つまり、海外拠点での方針、方向性を決め、スタッフを導いて目的を達成するためにマネジメントすることです。
日本では、すぐそばに多くの人がいるので、組織の長に立ったとしても、周囲の支援を仰ぐことが比較的容易です。しかしながら海外では、組織がどんなに小さくても、自分がトップに立ち、自分で考え、意思決定し、マネジメントしなければならない場面に多く遭遇します。
以上の2点から言えることは、国内人材とグローバル人材とは全く違うものではなく、グローバル人材は、社会人の基礎能力に、語学力、異文化を理解することがプラスアルファになったものと解釈すべきです。つまり、グローバル人材育成は、国内での人材育成の延長線上にあり、特別なことをすることではないということです。
☆この項終わり。次回もお楽しみに!