インタビューで聞く成功した人の「リアル」ノウハウ

 

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「組織のフラット化」の見直し

「組織のフラット化」の見直し

■「中間管理職のリストラ」と「組織のフラット化」の違いは?

リストラは本来、"組織の再構築"という意味で、後ろ向きではありません。しかし、「中間管理職のリストラ」というと、人員整理的なイメージです。そう思いませんか?

そこで、これに代わりよく使われるようになったのが「組織のフラット化」。"「トップと現場が近いので」意思決定が迅速に行われる"という、プラスイメージで語られるようになりました。

具体的には、30人規模のグループに課長級のリーダーが1人。係長級の階層がなくなり、その下に横並びのスタッフというイメージです。

このように「中間管理職のリストラ」と「組織のフラット化」は、コインの表裏の関係です。表のデザインが人気がなく、裏のデザインが好まれるコインのようです。


■「組織のフラット化」の見直しが顕在化

最近、トヨタが係長職を20年ぶりに、日本銀行が課長職を6年ぶりに復帰しました。この例に象徴されるように、「組織のフラット化」の見直しがされています。今度は、言葉の問題ではなく中身です。

実は、トヨタの場合、すでに2007年に組織のフラット化の見直しをはじめています。社内報で、副社長が「コミュニケーションや人材育成を基盤とした"職場力""チームワーク"は弱まりつつあるのではないか」と表明していたといわれています。係長復活にはこのような前触れがあったわけです。


■「組織のフラット化」の見直しの本質

確かに、「組織のフラット化」には、それなりの効能はありそうです。経営意思の伝達が迅速化され、権限が委譲された社員が自律的に行動することで、個々の目標に対する関心が高まり、成果に対する意識の向上が期待できます。事実、期を同じくして成果主義が導入されました。

しかし、1人の課長級のリーダーがマネジメントする部下の数は多くなりました。この結果、新人や若手社員が多い職場では、適切な部下教育がままならず、部下の不満が高まってきたといわれています。これは、若手の社員が一人立ちできないことを意味します。

反対に、ベテラン社員を中心とした組織では、個人事業者化したため、組織としての一体感が希薄になり、職場の雰囲気が悪化したとも言われています。

端的に言いますと、社員の自律と組織力向上に関して、「組織のフラット化」には大きな問題を内包していました。これが最近、「組織のフラット化」の見直しがされる本質ではないかと考えます。


■今後は「若手社員の自律」と「組織力の向上」がキーワードに!?

では、「組織のフラット化」の行方はどうなるでしょうか?

課長や係長も肩書きが復活してからと言って、昔ながらのピラミッド化という方向にはなりません。少なくとも組織の再編がなされる際には以下の2つの観点が重要です。一つは「顧客価値の向上」、もう一つは「人材育成」です。

顧客価値を上げませんと、お客さまからそっぽをむかれ、組織として生き残りができません。となりますと、顧客価値を向上できる人材の採用・育成の重要性が増します。そのうえで、どのような組織が「若手社員の自律」と「組織力の向上」にとって最適か議論になります。

おそらく、皆さんの会社では、すでに、このような検討がされているのではないでしょうか?

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