■「3つの理由」「3つのポイント」
もう20年以上前でしょうか。私自身の失敗事例からお話しましょう。あるとき、上司から、「うまいプレゼンだ」と褒められたことがあります。
詳細は忘れましたが、こんなやり方です。
「主な理由は3点。第1に・・・。第2に・・・。そして第3に・・・。」
「重要なポイントは3点。まず第一に・・・。次に・・・。最後に・・・。」
などの説明の仕方です。
実は、この説明の仕方は、当時、ある有名なシンクタンクにコンサルティングを依頼した際、コンサルタントの方がしていたプレゼン方法を真似したものです。
今と違って、このような方法は、世に知られなかった時代です。
確かに、理由やポイントは1つや2つでは少な過ぎて、よく考えていないのではないかとみられます。また、逆に4つや5つとなると多すぎて、整理がされていないのではないかとみられます。
ということで、落ち着きどころがよいのが「3つの理由」「3つのポイント」です。
■「4番目の理由」
ところが、足元をすくわれたといってよいでしょう。ある改善企画のプレゼンのとき、ある役員から「主な理由はわかりました。ちなみに、4番目の理由は何か教えてください。」という質問を受けました。
突然の想定外の質問に、頭の中は真っ白。おそらく、しどろもどろな、いい加減な回答をしたと思います。完全に信頼を失ったと思いました。実は、4番目以下の理由など考えていなかったのが実状でした。
以上から、「予備として4番目の理由や4つ目のポイントを準備しておくこと」という教訓を得ました。
言葉を変えて言いますと、「4番目は何ですか?」という"いじわるな問い"に対しては、4番目は聞かれた場合だけ答え、5番目以下を「その他」とみなすということです。
■「その他」=忘れてもよいもの
今だから言えますが、私が3点にまとめあげる方法を多用した本当の理由は、記憶力に対するコンプレックスです。
ですから、私にとって、分類で「その他」というのを発見したときの喜びは何よりもだったのです。「その他」=忘れてもよいものというのが、私流の定義です。
ちなみに、突然の質問に対して、断定調ではなく、「考えられる理由として、思いつくのは次の3点です」といって、その間に考えながら話すという回答方法は、経験上、好評です。
また、「極力、洩れなくダブり無く整理分析する癖をつける」という方法は、プレゼンの基本中の基本です。
もう一つ、私にはやや苦い経験でありますが、先述の、優先順位づけして、「3つの理由」「3つのポイント」として説明する点は、依然、説得力があります。
「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方