「研修の効果測定」これは研修担当者の永遠のテーマです。 今回は効果測定を難しくしている2つの原因と、その対応について考えます。
効果測定を難しくしている2つの原因
1.そもそも、なにをもって「効果」とするか決めていない(決められない)
2.いつ時点の結果を測れば、それが「研修の効果だ」と言えるかわからない
どちらも研修の設計時点で「えいや」と決めてしまえば済む話ではありますが、とは言え、決まり事には妥当性も必要です。
弊社での研修実施例を振り返りつつ、妥当性を探りたいと思います。
1.なにをもって「効果」とするか
研修は受講時間で何も本業の生産をしていません。言わば「投資」に当たるものですので、何らかの形で「回収」する必要があります。
ここで期待される利益は「コミュニケーションの活性化」という現象でなく、「生産性が●%向上した」「管理職の人材不足が解消された」などの結果です。
そう考えると、「何かができるようになること」を重視する前に、何ができるようになれば良いのか、企画者が考える必要があります。
極端なたとえですが、1時間受講すれば確実に100mのタイムが0.5秒縮まる研修があるとします。その研修は間違いなく、素晴らしく結果にコミットした研修ですが、受講者がデスクワークである場合経営的な結果はゼロに等しいはずです。
ここまで極端な例は珍しいですが、「何を期待して研修を設計するのか」不明確なまま、ただ「良い」とされる研修を当てていることがないか振り返ってみると、ドキッとすることがあるかもしれません。
直接的な効果をねらうのか、間接的な効果をねらうのか、方法が複数あるとも効果の定義を難しくしています。
例えば、OAスキルが不足していて生産性が上がらない場合、直接的にOAスキルを高めてもらう方法もありますし、職場のコミュニケーションを活性化させることにより「詳しい人に聞ける」状態をつくり、足りないOAスキルを補う方法もあります。
また原因が「OAスキル不足」などとはっきりしない場合もあります。こういった場合、原因にあたりをつけて直接的な効果を期待することが多いようですが、結果的に研修での学習内容でなく、「楽しい研修を受講しリフレッシュすること」で生産性が上がることもあるようです。これも大別すれば間接的な効果と言えます。
間接的な効果には研修以外の要因も影響するため、「研修効果」として測定するのであれば直接作用する分に限定するか、直接作用する部分に重点を当てた測定をするのが現実的です。 間接的な効果をねらった設計の場合、効果測定は「理解度」にくわえ「満足度」など意識に関するアンケートをとるのが妥当でしょう。
2.いつ時点のものが「研修の効果」なのか
研修効果を直接的なものと定義したとして、学習内容によって、その効果が表れるまでの時間が異なります。
例えば、「計画の立て方」は比較的効果が表れるのが早い分野ですが、「部下指導の仕方」は「わかっていても、ついついやってしまう」ような時期を経て、最終的な技術習得に至る人が多い分野です。
研修ご担当者様の多くが、研修に「理解度向上」だけでなく「意識向上」を求めていることからも、研修が「わかればOK」という単純なものでないことが読み取れます。
身につくまでに時間がかかるものについては、研修単体で考えるのでなく、研修を含む総合的な施策で、効果の向上をねらうことが望まれます。
最後に、そもそも効果測定が必要かを考えてみます。
研修効果を測る簡単な方法は、研修を受けたグループAと研修を受けなかったグループBを用意し、生産性等を比較することです。
しかし、学術機関でもない組織において、研修効果を図るために教育機会に差を設けることに意味はありません。
突き詰めると研修に求められていることは、研修効果を測定することでなく、研修が効果的に活用されることです。もっと言ってしまえば、経営的には研修があろうとなかろうと、良い成果が出ればそれでOKなはずです。
そう考えると、必要なのは、測定よりも研修効果を最大化させるためのフォローだと言えるでしょう。
また、測定そのものについて必要な理由は、研修企画を見直すためのはずです。
見直しの材料が得られれば目的に適うので、改善点として扱える範囲に限定して測定を行うのが、最も生産性の高い研修運営だと言えるかもしれません。
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