◆コールセンターの古今
私は弊社の川端とともに、92年からコールセンターの仕事をいろいろとやってきました。
特に、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)のコールセンターについては、システム、組織のデザイン、サービスのデザインなど、ほとんどゼロから設計しています。
コールセンターの研修やソリューションは、そうした経験に基づいてやらせて頂いています。
昔話をすると、以前は、コールセンターはあまりいい仕事とは思われていませんでした。
社内的には、すごくできる人が担当することがなかった仕事です。
ただ、時代が変わって、いまは最精鋭の人たちが企業の顔としてやる仕事に変わってきています。
本当に企業の顔になってきており、東芝の事件などいろいろな事件があって注目されることも増えてきました。
顔が見えない、声だけの仕事ではあるのですが、企業の顔になっています。
電話だけでなくインターネットのメールやFAXなど、いろいろな媒体を使った問い合わせのある窓口が、どんどん大きくなっている状態です。
また、いまの仕事自体を電話やメールに変えていくというのは、世の中の流れでもあります。
◆インソース「コールセンターチェック」の方法
コールセンターのマネジメントは、企業経営とよく似たものだと思っています。つまり全体が大事なのです。
まずは、センターの理念として、どのようなセンターにしたいのか、どうありたいのかということが一番大事なのです。
ですからリーダーたる人たちにはビジョンを明確に持っていただきたい。
私たちはビジョンをつくるお手伝いをするのではなく、その後からが私たちの仕事になると思っています。
私たちがコンサルティングは、まずセンターのビジョンに基づいて、現状の調査をすることからはじめます。
センターへお伺いして雰囲気を知るということもありますが、具体的にはコールチェックと、センターの皆さんへのヒアリングを重視し、それをベースに仕事をしていきます。
コールチェックは弊社の売りでもあるのですが、そのチェックシートは、センターのビジョンに基づいてデザインします。
日本中のコールセンターを同じ基準で計れるかというと、目指すところが違いますから、そういうことはありません。
たとえば、A社は営業のコールセンター、B社はCSのコールセンター、C社はクレーム対応のコールセンターということになると、目指すべき方向性が違いますよね。そうするとセンターの良さを計る尺度も違ってくるのです。
ですから私たちは、100項目の細かい調査をするということではなく、そのセンターに求められる項目を20項目や30項目というかたちで定義して、その部分の調査をします。
コールチェックシートはセンターごとにデザインしますので、2枚として同じものはないのです。そのときのポイントは、まずは全体のバランスです。
私はこれを「プロポーション」と呼んでいるのですが、そのセンターにとって一番いいバランス、たとえば基本姿勢であったり、応用応対であったり、知識、感じのよさのようなもので、大きく5つぐらい定義をします。
それもセンターによって違うのですが、電話応対の「基礎力」、「応用力」、 「知識」、「顧客マインド」、「営業センス」のような大きな項目に分類して、それぞれの比率を出します。
営業・セールスのセンターであれば、何をおいても営業のマインドが高いことが求められますが、その場合は、営業の項目全体においてそういう項目が多くなるはずです。
プロポーションとして、全体における比率が大きくなります。それが少なかったら、そのチェックシート自体が問題です。
それぞれのセンターに応じた配点があるので、それをまずデザインします。バランスを見るのが最も重要です。ですから全社統一の評価項目を持ってきてやるということはいたしません。
(つづく)