■仕事のリスク~"とんでもないことが起きる可能性"のこと
リスク(risk)は危険と訳されていますが、仕事上のリスクとは、平たく言いますと、仕事に関して"とんでもないことが起きる可能性"のことです。
仕事上のミスによって生じる不都合(事務リスク)、顧客サービスに対するお客さまからの苦情(クレームリスク)、不適切な顧客サービスから生じる悪い評判(レピュテーションリスク)、仕事に関するルール違反(コンプライアンスリスク)など、仕事そのもの中に"とんでもないことが起きる可能性"を大なり小なり秘めています。
中には、リスクはマイナス(損失)のみ発生するものだけでなく、プラスにもマイナスにもなるものがあります。ハイリスク・ハイリターンやローリスク・ローリターンというのを聞かれたことがあるでしょう。外国為替や株式などの投資は、必ずしもマイナス(損失)になるとは限らず、プラス(利益)になることがあります。
このように、仕事の種類によって、様々なリスクが存在することになります。
■危機管理のポイント1~リスクを洗い出し、優先順位づけする
そこで、危機管理(リスクマネジメント)と呼んでいますが、"とんでもないことが起きる可能性"を小さくすることが求められます。
そのために、まず、自分の仕事に関して、どのようなリスクがあり、そのリスクの影響(損失)および発生する頻度(確率)がどの程度あるかを洗い出すことから始まります。
そのうえで、想定されるリスクを整理し、優先順位をつけたうえ、それぞれのリスクに対して対応策を事前に準備しておくことになります。
それでも、想定されるリスクが予防できない場合があります。そのために、顕在化した際にどのように対応するかをあらかじめ決めておくと、多少なりとも損失を軽減できます。
■危機管理のポイント2~対応策をA4用紙1枚程度にまとめる
以上の作業を危機管理マニュアルとして文書化するのが一般的です。
この際、注意しなければならないのは、危機管理マニュアルを膨大なものにしないことです。少なくとも対応策についてはダイジェスト版を準備すべきです。緊急時にその場で危機管理マニュアルを読んでいては間に合わないからです。
また、長期記憶として残るようにするには、キーワード化したり、ストーリー化した対応策が良いと言われています。そこで、対応策については、A4用紙1枚にするなど、極力、簡便かつストーリーになった形にまとめておくと良いでしょう。
■危機管理のポイント3~対応策を訓練しておくこと
もっともこれらのことが頭の中で分かっているだけでは不十分です。行動レベルで実際に対応できるかどうかが重要です。そのためには、リスクが顕在化したときの訓練を定期的に行うのが、実行力を上げるためのポイントです。
実は、防火訓練などもリスク対策の1種類で、同様に、他のリスクについても同じように訓練すれば良いのです。"言うは易し、行うは難し"の典型例がリスクマネジメントといって良いでしょう。