「『こんなときどうする?』:難しい状況下のコミュニケーショ
ン」の新シリーズは、以下のような内容でお送りしていきます。
(1)エピソード
~その回毎のテーマに関連する、具体的なビジネスの現場での
悩みをご紹介する部分です。ノンフィクションです。
(2)解決策
~コミュニケーションに関する悩みを解決するための方法を具
体的に解説いたします。
(3)トレーニング方法
~さらに、テーマに沿ったコミュニケーションスキルをアップ
するために必要な事柄を解説します。
このような構成で、しばらく連載を続けますので、よろしく
お願いいたします!
゜:.*。・。+.゜・。゜.:。*゜・。.゜。:・+゜・。:゜・。゜.。゜・。+。゜
■エピソード
私はなぜか、相手に納得してもらえるような話ができません。
お客様への説明や上司に意見を述べる場面で、
伝えなくてはならないと思うことを一生懸命話すのですが、
相手の同意や納得がなかなか得られず、
最後には感情ばかりが高ぶって、一方的に訴える
という状態になってしまいます。
相手の反感や疑問を解消し、納得に導く話をするため
にはどうしたらよいのでしょうか。
(感情先行型の営業マン)
■解決策(1)
基本的な姿勢~まずは、相手の注目を探ること
論理的に相手を納得させるのが苦手な人は、
相手に何かを伝えようとする時、自分の主張ばかりを
強調してしまう傾向があります。
まず一呼吸置いて、
「1対1の武士の立会いのように、
自分からムダに動いて隙を見せず、相手の動きを読む」
構えをとってみましょう。
ビジネスコミュニケーションの場で
「論理的である」ためには、
まず相手の興味・関心を探り、続いて話し手と聞き手の
認識をすり合わせていくことが必要です。
以下で各段階のアプローチを確認していきましょう。
--------------------------------
a.相手の興味・関心を探るとは
--------------------------------
論理的であるとは、「様々な情報を整理し、
順序立てて、段階的に結論を導くこと」です。
最初に相手の持っている情報は何か、
論理展開の癖・好みは何かを探り、それにあわせて
段階的に結論を導いていきます。
------------------------------------------
b.自分と相手の情報の認識をすり合わせる
------------------------------------------
相手への説明の冒頭は、次の点に注意して単純化すると
相手に伝わりやすくなります。
・伝えたいことを要約する
~文字であれば200文字。口頭であれば30秒
・ポイントを3つに絞る
説明が終了したら、相手の反応をうかがいます。
⇒「詳細について説明を続けてよろしいでしょうか」
「何か気になる点はございますか」
資料をもって説明をする場合、資料についての理解度に
ついて相手に過剰に期待してはいけません。
資料に書いてあることを質問されても、
「それは資料に書いてあるとおりでして」という返答はNGです。
相手は資料を初めて目にしていますので、
自分と相手の情報の認識あわせを一つ一つ紐解いて
いくことから始めます。
相手の発言・視線・表情に注目し、相手の理解度を
探ることです。相手の知っている情報と、
自分が提供している情報の認識がそろってから初めて、
話の結論が見え始めます。
----------------------------------------------------
c.論理展開の癖・好みを探る ~タイプ別アプローチ
-----------------------------------------------------
人には、論理展開の癖・好みがありますので、
その人にあわせた話の展開をしていくことを心がけます。
・感情を入れず、客観的な事実を重視するタイプ
⇒「○○年の総務省統計資料によりますと・・・」
・期待される効果など行動に移すために
プラスとなる楽観的な情報を重視するタイプ
⇒「このサービスを活用いただけると、
1年間に20%の経費削減が期待されます」
・行動に起こして、リスクやトラブルが
発生しないか否定的な情報を重視するタイプ
⇒「たしかに○○様のご懸念はごもっともです。
その点においては、弊社のアフターサービスが
24時間対応いたしますので、ご安心ください」
・直感的に判断するために相手の感情や思いを重視するタイプ
⇒「○○は最高です!必ず○○様のご期待に沿えますよう、
不肖山本、命の限り精一杯やらせていただきます!」
・今までとはちがう何かを期待させる
創造性や斬新さを重視するタイプ
⇒「○○システムは、他社ではまだ提供していない
業界初のマーケティング機能を搭載しています。」
■解決策(2)
相手にわかりやすく伝える工夫
議論が混乱する大きな要因として、事実と意見が
混同している場合があります。
論点がずれてきた、見えなくなってきたと感じたら、
まず事実と意見を整理してみましょう。
また、話の内容は立派でも、相手が現実味の薄い、
机上の空論・理想論といった印象を抱いてしまい
同意や納得が得られないケースもあります。
この場合は自身の経験談や第3者のエピソードを
紹介することで話の信頼性を高めることができます。
------------------------------------------------
a.事実と意見を区別する ~議論を空中戦にしない
------------------------------------------------
事実と意見を混同してしまうと、議論が脱線する、
本論とはそれたところで論理の穴をつかれる、
といった恐れがあります。
事実であること、意見であることをわかるように、発言します。
「○○の統計資料によると、・・・」
「○○法の規程によると、・・・」
「私見ですが、・・・」
「今、思いついたアイディアですが、・・・」
----------------------------------------
b.自分の意見/アイディアの発想に至った
具体的なエピソード/経験談を付け加える
----------------------------------------
自分の意見/アイディアに詳細なエピソードが
加わると、そのアピールポイントがより鮮明になることがあります。
「○○カメラのシャッター機能は、
先日子供と遊園地に行ったときに・・・」
------------------------------------
c.第3者の意見や経験談を付け加える
------------------------------------
第3者の意見や経験談は、論理を補強する何よりも強い材料になります。
「実は、同様のお悩みを抱えてらっしゃった○○様は、
弊社のサービスを利用していただいています」
(つづく)
「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方