■相次ぐソーシャルメディアでのトラブル
ソーシャルメディアにおいては、直接個人名が書かれていなくても、プロフィールや発言内容、他のソーシャルメディアの情報との掛け合わせなどにより、発言者を特定することが出来ます。
たとえ、個人的に使用しているアカウントでの発言だとしても、内容から「○○の従業員である」と推測されれば、当然組織側の責任が問われる問題となってしまいます。
個人的な発言による"炎上"トラブルは、2011年だけでも多く発生しています。
■ソーシャルメディアの普及と特性
mixi、Twitter、Facebookなど多くのソーシャルメディアが普及し、個人の情報発信が大きな影響力を持つ時代になっています。長い間、ネットへの書き込みはその匿名性の高さゆえに、誹謗・中傷なども含めて自由度の高いものとして利用され、また黙認されてきました。(例:ネット掲示板)
そこに登場したソーシャルメディアは、ネットへ書き込むという行為そのものは同じではあるものの、そこに「特定された個人」や「組織に所属する一員」という社会的繋がりが発生するために、発言に対する責任が問題視されることになったのです。
普及の背景には、利用環境・利便性の拡大があげられます。特にスマートフォンの普及により、ソーシャルメディアの使われ方についても、PCと携帯の境界がなくなっています。
■求められるのはメディアリテラシー
メディアリテラシーとは、メディアを「読解する」「活用する」「読み手と適切にコミュニケーションする」能力です(総務省の定義参照)。炎上した事例は、ITリテラシーはあっても、メディアを適切に利用・活用する能力としてのメディアリテラシーの欠如が招いたものと言えます。
■ソーシャルメディアのリスクを理解する
ソーシャルメディアとうまく付き合う為には、良い面ばかりでなく、リスクについても理解を深め、適切に利用する必要があります。
(1)「炎上」は他人事ではない
個人の発言、組織の発信など、ネット上で共有される全ての情報が、いつ「炎上」のきっかけとなるかわかりません。ソーシャルメディアの活用に早くから取り組んでいる企業や組織では、広報やマーケティングなどの担当者に向けて、考え方・行動指針の作成や勉強会の実施などを行っています。しかし最近では、組織に所属する一個人としての発言が炎上のきっかけとなっているケースが増えています。
情報が様々なメディアを通して瞬時に共有される今、「プライベートだから」「フォロワーが少ないから」などの理由は、無責任な発言をしてもいいという言い訳にはなりません。
組織としては、個人による炎上の防止まで考えて対応していくことが求められるのです。
例)フォロワー数の少ない個人のつぶやきが瞬時に拡散される流れ
炎上を招きやすい話題についてつぶやく
→ネット掲示板でその問題を取扱うスレッドが立つと一気に騒ぎが拡大
→ニュース配信社がニュースを仕立て、ポータルサイトにニュースを配信し、紹介されると一気に炎上
(2)炎上を招きやすい話題・発言
・口汚い言葉、不穏当・不謹慎な発言
・有名人などの目撃情報
・イデオロギーがかかわわる話題
・人を見下す言葉、発言
・犯罪自慢、武勇伝を語る
・価値観の否定、押し付け
(3)匿名アカウントでの投稿において個人情報が発覚
ネットの個人情報は、散らばっている断片の情報を見つけ照合することで個人が特定されてしまいます。
・アカウント名~@名前_苗字の子音(例:田中ならtnkなど)
よく似た名前の場合、mixiアカウントやFacebookを検索し実名・顔写真が判明する場合もある。
・Twitterの登録リスト
学校名・社名の登録がなくても、学校名・社名が入ったリストに登録されていれば容易に推定できる。
☆次回もお楽しみに。