官公庁・自治体の皆さまはプレゼンテーション(以下、プレゼン)の機会が
多いものです。しかし、「人前で話すのは苦手だな」「できれば人前で
話したくない」、こんな声が聞こえてくる気がします。
しかし、たとえプレゼンの講師であっても、初めからプレゼンが
得意だったわけではありません。プレゼンはポイントを知り、経験を
重ねることで成果を上げやすいスキルなのです。
今週より、ケーススタディを交えて「成功する自治体職場のプレゼン」を
お送りします。
■プレゼンは業務知識+一般常識+伝える技法
プレゼンに必要な要素の70%は、仕事の「業務知識」と社会の
「一般常識」です。あとの30%だけが「伝える技法」です。それも
かなり「自分流」で問題ありません。
下手な人は下手なプレゼン、頭のいい人は頭のいいプレゼン、
根回しのうまい人は話さなくても良いプレゼンがあります。プレゼンの
目的は「相手に話を理解させ、賛同を得る事」です。
伝える技法で必要なのは、「美しい話し方」ではなく、その人なりの
「説得の方法」です。アナウンサーのように流暢な話し方ができれば
それに越したことはないですが、そもそも、プレゼン目的は、「自分の
考えを正確に他者に伝え、それを相手が理解し、相手の賛同を得る事」
です。相手に「あんたの話はわかった。賛成するよ」と言ってもらえる
だけでいいのです。
今回は、最低限の努力でわかってもらえるプレゼンについて、
現場事例を踏まえ、考えてみます。
───「ケース1:市庁舎建替えに関する住民説明会」─────
X市では築50年の庁舎建替えを検討中です。本件に関する
各地区住民説明会を開催することになりました。Y地区の
説明責任者に選ばれたのは、技術系職員で東京出身のAさんです。
今まで説明会の経験がなく、この地方の出身でもないこともあり、
Aさんは不安でいっぱいです。
住民説明会には、高齢者を含む多数の来場者が集まり、冬の
夜6時にスタートしました。うすら寒い説明会場ではコートを
着る人もちらほらいます。Aさんの顔は、緊張でこわばったままです。
当日配布した分厚い、細かい字がびっしり書かれた資料を、専門用語を
交えながら、順を追って、淡々とうつむきかげんに説明しています。
会場からは、「寒い!」「話が良く分からない!」「住民メリットが
分からない、市職員のエゴで建替えるのではないか?」などの野次も
飛び、険悪なムードになっています。なぜ、こんな状況になったの
でしょうか? どうすれば良かったのでしょうか?
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■住民を主役とし、来場者に配慮した資料を準備する
まずは資料の準備です。現実問題として、良いプレゼンペーパーが
あれば、多少話がまずくてもしのげます。特に資料作りが得意な方は、
腕の見せ所です。
20分程度のプレゼンテーションであれば、A4用紙で最大4枚ぐらいの
資料を用意します。このとき、「分厚い」資料は厳禁です。聴衆は資料を
めくるだけで疲れてしまうからです。
資料はできるだけ少ないのが基本です。
内容としては、順次ご説明しますが、特に注意したいポイントを
2点あげます。
(1)字の大きさは原則12ポイント以上
ズバリ、来場者に50代以上の方がいる場合、大きな字で書いた資料
にすべきです。想像以上に高齢者にとって、小さな字は苦痛です。
何より、資料が読めなければ、「しゃべり」だけで説明会に臨む
ことになり、不利です。
(2)資料の「主語」は住民にすること
皆さまは知らず知らずのうちに、「お役所言葉」を使いがちです。実は
これが住民にとってはあまり気分の良いものではありません。今回の
ケースで言えば、「住民の皆さんにご利用いただく市役所」というように、
住民が主役の言葉遣いで書くようにしましょう。
■聴衆に配慮して、聴く環境を快適にする
次に、一般常識として、聴衆への配慮を行うことが絶対条件です。
この場合、「寒い」のは論外です。経費節減もわかりますが、
風邪など引いては大変です。会場準備段階で暖めておくべきです。
話す前に聴衆を敵に回さない事です。
☆来週につづく!
「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方