■今、再び高まる「グローバル人材育成」の必要性
グローバル企業は随分前から、「グローバル人材を早急に育成しなければならない。」とか、「海外拠点の現地化を進めなければならない。」と言ってきました。少なくとも、私が銀行時代、シンガポールに赴任していた時には、既に声高に叫ばれていたことを鮮明に記憶しています。とは言えど、グローバル化は、当時から大きく前進してこなかったように感じます。なぜならば、何だかんだ言っても、多くの大企業は、日本中心に成長戦略を描くことができ、実際に成長できてきたため、本当の意味での危機感がなかったからではないかと思われます。
しかしながら、リーマンショックが起こったことにより、状況は一変しました。バブル経済崩壊の傷が癒えたと思ったら、未曾有の世界同時不況に陥ってしまいました。この出来事によって、このままでは将来の成長戦略が描ききれないという、強い危惧の念が生まれたのは間違いないと思います。実際この1年で、弊社のお客さまからも、グローバル人材育成が大きな課題であるとか、グローバル人材育成をどう進めたらよいのか教えて欲しいという声を、よく耳にするようになってきました。また、外部環境を俯瞰してみると、以下のようなことが言えるのではないでしょうか。
1.日本の少子化が急速に進展するため、日本マーケットは大きく縮小する
2.アメリカ中心に回っていた世界の政治経済が、中国など新興国の台頭により、勢力図が大きく変わっていく可能性がある
3.海外のグローバル企業が世界での生き残りをかけて、国境を越えたM&Aを進めている(日本企業も外資系企業に買収され、'逆'グローバル企業になる可能性も十分ありえる)
4.中国、韓国、台湾などアジア諸国の企業が、日本企業を凌ぐ実力をつけてきている
5.日本企業も、輸出型海外拠点から現地生産現地消費を前提にした拠点づくりを進める必要がある などなど
つまり、世界での生き残りをかけた熾烈な競争に打ち勝つためには、グローバル人材を真剣に育成しなければならない状況になってきた訳です。そこで今回は、グローバル人材をどのように育成していくのかについて、簡単に記します。
■グローバル人材に必要な素質とは
まず、グローバル人材に必要な資質については、以下の3点が求められると考えています。非常に能力の高い人でも、この3点が備わっていないと、海外で活躍することが難しくなる可能性があります。私も自身の経験から、身をもってこれらの大切さを痛感しています。
1.打たれ強いメンタリティ
これは、慣れない異国の人たちと接しながら勤務しなければならないこと、日本以上に一人で問題解決していかなければならないこと、本社からのプレッシャーが強いことなどから、打たれ強いメンタリティが必要であるということです。
2.頑丈で長持ちする体力
これは、仕事の負荷が日本以上に大きいこと、特に暑い東南アジア、南アメリカなどでは、体力消耗が激しいこと、加えて、海外勤務者は簡単に交代できないことなどから、体力がないとやっていけないということです。
3.現地に溶け込めるキャラクター
これは、現地の人たちから親しまれ、現地に溶け込めるキャラクターを持つ、異文化を積極的に理解しようとする姿勢を持つことが非常に大切であるということです。日本の本社ばかりを見て仕事をしていては、一向に現地を理解することはできませんし、現地化を推進することもできません。
【オススメカリキュラムをご紹介!】
本研修では、多くの演習を通じて、部下指導のコツや目標管理、業務改善、リスク管理の手順・手法を習得して頂きます。
管理職として、組織全体の目標をうまくブレークダウンしながら、部下の目標設定を正しく導くこと、また目標を達成するための目標管理の習得をはかります。
問題解決の基本フレームワークを学び、2日間かけて課題解決企画書を作成します。組織の課題を集中的・徹底的に考えることで、管理職としてのプロフェッショナルマインドを醸成します。