■γ(ガンマ)補正
好き好んだわけではありませんが、どういわけか、私は少数派に組することが多いようです。
パソコンも、今は仕事上WindowsPCを使用していますが、実は隠れMacintosh派です(公表して"隠れ"というのはおかしいですが)。特段、深い理由はないですが、感性の問題というところでしょうか? もっとも、Windows95以前からインターネットが使える点、グラフィック・音楽関係に強い点でMacintoshは有用でした。
私のようなパソコン両刀使いは、当初 Windowsを使い出したとき、最も気になったのはディスプレイ(モニタ)の明るさでした。同じ画像でも、 Windowsは Macintoshに比べて暗くかったからです。その理由は、パソコンから出される明るさの情報をディスプレイに出すとき Macintoshはソフト側で補正していたのに対して、昔の Windowsはソフト側では補正していなかったからです。
そこで、ディスプレイ側で補正することになります。これを、専門的にガンマ補正といって、パソコンから出される明るさの入力情報をディスプレイに出すとき元データに忠実に再現させるための補正のことをいいます。その補正値のことをγ(ガンマ)といいます。
ちなみに、一般的に暗くなるのを補うために、WindowsPCではγ=2.2、Macintoshではγ=1.8で補正します(後述するとおり、この値が意味を持ってきます)。
いや、 Windowsのパソコンでも、ディスプレイの違い(癖)によって、見た目の感じがだいぶ違います。気にする人は、ディスプレイの輝度などを調整しているのではないでしょうか?
■デジカメ写真の補正
今、最も、ガンマ補正のお世話になっているものは何でしょうか? 私は、デジカメで撮影した写真ではないかと思います。ブログなどでアップした写真をお知り合いがパソコンで見たりするとなると気になるところです。
さらに、プリンタで印刷するとなると、光の3原色(赤・緑・青)と違って、色の3原色(緑青(シアン)、赤紫(マゼンタ)、黄(イエロー))で、またまた感じが違います。
写真撮影したときは明るさも含めてベストショットだったと思われたものが、ディスプレイで再現すると意外に暗かったりして落胆することがしばしばありませんか? このとき、フォトショップなどのソフトでガンマ補正(レベル補正の1つで中間調の補正)のお世話になることになります。
ちなみに、テレビを含めてディスプレイなど、光の世界では γ=2.2が世界標準のようです。これに対して、印刷の世界では、γ=1.8が標準です。
いまだに、DTP(desktop publishing,電子編集システム)などの印刷の世界では、Macintoshが強いのはなるほどと思いませんか。
前回の「ベータの話」で申し上げたとおり、グローバルスタンダードを握った強さです。
■研修でもガンマ補正的な手法が取られる
以上、ガンマ補正の機能は、大胆に言えば、見た目の補正といってもよいでしょう。実は、世の中、このようなガンマ補正的なものが必要なことはいくらでもあります。
不思議なもので、同じ内容のことを話しても、明るい印象を持たれる方もいれば、暗い印象の方もいます。明るい印象を持たれるのは天性のものとあきらめる必要はありません。何かしらの工夫をすればよいのです。
インソースの研修の世界でも、プレゼンテーション研修などは、ある面ではガンマ補正的な手法を取っています。すなわち、自分の伝えたい情報を相手に合わせて補正するというのは、まさしくそうです。身近な事例や例え話を持ち出すなど、相手を意識した言葉の組み立てなどが有効です。自分のプレゼンテーションを研修時にグループメンバーに評価していただいたり、あるいは自分のプレゼンテーションのビデオをご覧いただいて、補正点を明確にしていただきます。
是非、インソースのプレゼンテーション研修で、"ガンマ補正"により明るくいきいきとした表現方法を身につけていただきたいものです。
とはいえ、健康ブームの時代において、ガンマといえば、γ-GTP(γ-glutamyltranspeptidase)を思い出される方が多いかもしれません。腎臓などに分布する酵素で、肝機能検査などに利用されます。
特に、お酒飲みの皆さんには、条件反射的に気になるようです。
こちらのガンマ補正は、...いや、やめときましょう。語らぬが花です。