◇Sさん・プロフィール◇
アウトバウンド経験豊富なマネージャー。
コールセンターのリードスーパーバイザー・育成トレーナーとして、「窓口管理・クライアント対応の実践と指導」「オペレーターの稼動管理・育成」「センターの業務改善」「スーパーバイザーの育成」「マルチセンターの実現」「新規センターの立ち上げ」などに従事。コールセンターという職場環境から、幅広い年齢層とのコミュニケーション方法や管理育成方法を身につける。仕事をする意味など、人間的な成長まで考え、オペレータを指導する。
【第2回】「アウトバウンドとインバウンドの違い」
◇質問者、◆Sさん
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■インバウンドの要素は、アウトバウンドには邪魔になることがある
◇アウトバウンドに、インバウンド的な要素が求められることはありますでしょうか。
◆インバウンドにアウトバウンドの要素が必要ということは10年前から考えておりました。当時、インバウンド20名、アウトバウンド20名のコールセンターを任されており、インバウンドのオペレータにアウトバウンドの仕事をさせたことがあります。問合せから、契約の獲得までです。これはうまくいきました。
クライアントからも表彰されましたが、親会社のインバウンドにも同じことをさせようとしたら、反発されてしまいました。
◇反発ですか。
◆アウトバウンドにとって、インバウンドの要素は邪魔になるものも沢山あります。ただ、基本的な電話のスキルは必要ですし、たとえば入会・解約などの全体的な、システム的な流れの理解はあってもいいかと思います。アウトバウンドは販売する商品に関する限定的な知識だけで電話をかけてしまいますので。
◇インバウンドの要素が邪魔になってしまう、というのは具体的にどのようなことですか。
◆インバウンドは、スクリプト通りに話します。品質の維持と効率化が目的なのですが、その結果、余計なことは喋らないようになります。ところが、アウトバウンドは余計なことを喋らなければ商品を売ることができません。
インバウンドを担当しておりますと、どうしても柔軟性がなくなってしまいます。インバウンドにいた人がアウトバウンドを担当するのはそこが難しい。
◆スクリプト通り、スクリプトがなければ、指示がなければできない、という感覚ができてしまう。それが邪魔なのです。アウトバウンドはその逆で、そこが大切です。
少々知識がなくても、商品は売れるものです。それでも売ることができる。「こうでなきゃ、これがなきゃ、お客さまがこうだから」。こういう感覚では、アウトバウンドはできません。
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■インバウンド、アウトバウンドの適性は、育てていくことができる
◆本人の適性もあるのでしょうが、育てることはできます。管理職、SVにも適性はあるのです。ただし現状では、インバウンドのSVがアウトバウンドに回されると、ほとんどが病みます。辞めていくか、精神的に参ってしまう。管理職が嫌がるから、インバウンドにアウトバウンド的な要素が導入されていかないのです。
◇管理職の影響が多分にあるということですね。
◆そうですね。適性により伸び方などはあるとは思いますが、やはり重要なのは育て方なのではないでしょうか。前職にはそもそもアウトバウンドの部門はありませんでした。アウトバウンド的な内容はあっても、たとえば入金が2ヶ月遅れたら、「入金どうなってますでしょうか」と。「これから払います」といわれれば「そうですか、よろしくお願いします」とそんなものでした。
◆親会社がセールスをしたいということで、アウトバウンドを導入したのですが、インバウンドのスタッフのまま変更できました。インバウンド部門が地方に移転することになり、東京のスタッフがアウトバウンドに異動しなければならないというような状況もあり、このときは不満もありましたが、なんとか育てることができました。
(つづく)
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