■奈良時代の評価制度
評価制度や人事評価は、現代でも組織を運営する上で重要なものですが、日本では、奈良時代からすでに、唐から輸入した「律令」という法令を基に、人事評価が行われていました。
現代でも、「考課」という言葉を勤務評定の意味で使いますが、これは奈良時代から使用されていた言葉で(唐の法律用語を輸入)、「功過を考校」(功績と過失を調べ)、「才芸を課試」(能力を試す)という意味です(「考」が「調べる」の意味、「課」が「試す、試験する」の意味)。
■奈良時代の評価者
中央・地方ともに、すべての役人は、それぞれの官庁のトップに、1年に1度評価されていました。評価を行う際には、現代の評価面談さながらに、被評価者と対面し、評価の結果とその根拠(事由)を本人に読み上げていました(現在同様に、被評価者が納得しないということもあったでしょう)。
■奈良時代の評価基準
また、「能力評価」はどのように行われていたかは不明ですが、奈良時代でも、「勤務評価」、「業績評価」に当たるものはすでにありました。
「勤務評価」は、当時の儒教の思想に基づいた全役人一律のものがあり、「業績評価」も大臣から、国家官僚、国の地方官に至るまで、評価基準が設けられていました。
奈良時代の「勤務評価」は、以下の、「善」という儒教の思想に基づいた、「徳義」・「清慎」・「公平」・「恪謹」の4つの評価基準がありました。
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「徳義」:周りから、徳があり、人柄が素晴らしいと思われているかどうか
「清慎」:清廉潔白で、慎み深いかどうか
「公平」:私を捨て、公の為に働き、公平な態度で仕事に臨んでいるか
どうか
「恪謹」(かくごん、かくきん):仕事を敬い、力を尽くして仕事に励んでい
るかどうか
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