■1人1人に合った育成をするために相手を知る
OJTとは、「職場で行なう業務指導」と思われがちですが、OJTの本質は、「1人1人の個性や理解力に合わせたオーダーメイドの育成」です。
よって、OJTを進める際、まずは相手の現状を把握する必要があります。
具体的に「何ができ」、「何ができないか」を明確にしておくことによって、それぞれの部下・後輩に対して「何を」「どのくらい」「どのように」という最適な指導を行うことができるのです。
「現状把握」するには、まずは「自己申告」してもらうのがポイントです。
しかし、IT系の場合、「自己申告」には注意が必要です。IT系に特に多いのが、「できないことをできる」という見栄っ張りタイプ、または「できることをできない」という消極的タイプの二通りです。
圧倒的に消極的タイプが多いと思います。例えば、CはできるけどC++はよく知らない場合、「C++はできない!」と決めつけてしまいがちです。こんな場合には、スキルアップするように指導していくべきです。早め早めにスキルヒアリングを実施して、育成目標を立ててあげることが重要です。
■コミュニケーションスキルも「自己申告」させる
IT系においては技術スキル以上に重要視しなければならないのが、コミュニケーションスキルです。部下が社内でよい人間関係が築けなかったり、常駐先で聞くべき事を聞けなかったりして、問題を起こすなど、コミュニケーションに関するトラブルで苦い経験がある方も多いはずです。
このような部下のコミュニケーションスキルに関する不安を払拭するためには、コミュニケーションスキルを「自己申告」させることが有効です。部下は思わぬところを「苦手」と感じている事が多く、課題を共有する事からスタートするのが良いでしょう。
具体的には、図のような「評価シート」を使用することで、把握が円滑になります。
■ITと社会スキルをあわせた「育成計画」を作る
部下ひとりひとりが具体的に「何ができ」、「何ができないか」という現状を「自己申告」により把握したら、あわせて「育成計画」を作成していきます。
いわゆるIT系における育成計画だと「ITスキル」をつけるのが中心になってしまいます。しかし、ITスキルだけでは、開発はできません。前述のコミュニケーションスキルなど「社会スキル(ビジネススキル)」も同時にレベルアップしていく必要があります。
■きわめて具体的な内容でスキルを洗い出す
まずは自組織にとって必要なスキル・知識を洗い出します。部下・後輩に身につけさせたいスキル・知識、不足しているなと感じる意識などを具体的にどんどん書いていきます。当然ながら、IT技術に加えて、報告・連絡・相談、議事録作り、電話応対など仕事周辺のスキルも洗い出しておきます。
そして、それぞれのスキル・知識はいつまでに身につけなければならないかということを明確に示すことによって、「育成計画」が立てられるのです。
例えば、「育成計画目標シート」を用いて1ヵ月後、3ヵ月後、6ヶ月後と細かくステップに分け、達成目標を立てます。次に、その目標レベルに達するためには具体的に何ができなければならないかを順序立てて具体化します。
「部内会議の議事録が作成できる」のように具体的であればあるほど、指導効果は高くなります。部下に何ができてほしいのかということを示していくことが効果的な育成につながるのです。
次回もお楽しみに。