前回はIT系部下が「不平・不満」を持っているときは、まず、きちんと話を聞いて受け止め、建設的な対応策を考えてあげることが大切だというお話をしました。それでも、失敗が続いたり、やりたくない業務が続いたりすると、すぐに働く意欲が下がってしまうのが最近の若年層の傾向です。
IT系の部下に限らず、そのような「不平・不満」が重なり、「辞めたい」という気持ちが生じると、「大きな仕事や先の長い仕事は引き受けたがらない」「勤怠が悪くなってくる」「コミュニケーションが少なくなってくる」などの行動が目立ってきます。
では、実際に「辞めたい」と言ってきたら、どうしたらよいのでしょうか?
■辞めたい部下の対処法
【4つのステップ】
(1)ホンネを把握する~詰問しない、驚きと落胆を伝える
誰でも上司に辞意を申し入れるときには緊張するものです。理由を知ることが重要とはいえ、いきなり詰問してしまっては、ますます部下が緊張してしまい、本音を把握することは困難になります。まずは驚きや心配(思いやり)を素直に部下に伝え、聴く姿勢を示すといいでしょう。
例:「○○さんが、まさかそんなことを言うなんて。」
(期待と落胆を伝え、聴く姿勢を示す)
例:「辞めたいだなんて、どうした? 大丈夫か?」
(驚きと心配していることを伝え、聴く姿勢を示す)
(2)相手の話を聴く ~辞めたい理由を正確に把握する
まずは、部下の言うことを最後までじっくり聴きましょう。一人きりで悩みを抱えていた場合、誰かに話すことで解決することもあります。また、話を聴いている最中も適度に相槌をうったり、うなずいたりして、聴いているという姿勢を伝えます。決して話を遮ったり、否定したりしないように心がけましょう。話が落ち着いたところで適宜質問をし、辞めたい理由=不満なことを正確に把握しましょう。
(3)不満を解消する~若手が退職を考える理由には、先に対策を考えておく
ア.「成長実感が感じられない」「やりたい仕事ができない」
仕事の失敗が続いた場合、同じ仕事を長く続けている場合に出がちな不満です。可能であれば、異動や担当業務を変えてみることで対応します。難しい場合は、対話を増やします。
イ.「上司の指示・指導方法が納得いかない」
上司はなぜそんな指示や指導をするのかを考えさせるのがまず最初です。顧客や組織にとって不利益を与えないために必要な指示・指導であることを納得させます。
(4)信頼関係向上を目指す ~感謝の意・変わらぬ期待を伝える
部下には会社に直接辞意を伝えてもよかったところを、わざわざあなたに相談してくれたということに対し、感謝の意と今後も変わらない期待を伝えます。相談後は、まめにフォローします。
■普段から意欲向上の工夫を
しかし、このように部下が「辞めたい」と言いだす前に対処することも、育成担当者にとって重要な仕事です。
例えば、部下に変化を感じたら、 「対話の回数や時間を多く取る」「不平・不満を聞き、解消する」など、日頃から積極的にコミュニケーションを取るよう心掛けます。また、「業務を褒める」「将来、こうなってほしいという明確なビジョンを伝える」など、常に部下がモチベーションアップできるよう工夫することが、「辞めたい」部下を作らないポイントと言えます。
☆次回もお楽しみに