金融とＩＴが織りなすアラベスク（１）

金融とＩＴが織りなすアラベスク【１】

金融とＩＴが織りなすアラベスク（１）

■プロフィール

１９６３年生まれ。株式会社ユニソンパートナーズ代表取締役。

一橋大学社会学部卒業後、三和銀行（現、三菱東京ＵＦＪ銀行）入行。

営業店勤務、官庁出向を経て、インターネットバンキング、融資業務ＢＰＲなど、ＩＴを活用した新規業務開発とマーケティングなどに携わる。また、ＮＴＴデータに出向し、同社北米技術センタ（在シリコンバレー）で米国金融ビジネス調査と有望なソリューションのビジネスデベロップメントに従事。その後、「ビジネスとＩＴの協調（ユニソン）」を標榜するユニソンパートナーズを設立。大手銀行リテール業務戦略構築、証券会社ＢＰＲ、保険会社ダイレクトチャネル戦略構築、銀行向けＴＭＳ構築支援、Ｊ－ＳＯＸ対応支援など金融機関およびＩＴベンダー向けに多数のプロジェクトを手掛けている。

■『ＳＥが基礎から学ぶ金融システムの教科書』の著者山本氏はこんな人

◇中島：

山本さんは元々どのようなことをされていたのですか？

◆山本氏：

私は銀行で営業をしていました。１４～１５年前、まだ中島さんが３つくらい（？）の時（笑）に、舟橋さんと初めて仕事をご一緒しました。舟橋さんがテレホンバンキングを売り出すときです。ずっと開発をしていた舟橋さんに色々話を聞きながら、私が営業や販売促進・マーケティングなどの手伝いをさせていただいていました。

その部署自体が「ＩＴを使って金融をどう革新していくか」を追求していたので、ちょうど２０００～２００２年にかけて、私はＩＴ企業に出向しました。シリコンバレーに行って、金融やＩＴの米国の状況を調査したり、面白いソリューションがないか探したり、ということをしていました。

２００３年に銀行を退職しまして、金融分野でビジネスとＩＴの協調ということをテーマに、ユニソンパートナーズというコンサルティング会社を作りました。今回の本でお話している知識は、銀行員時代やユニソンパートナーズで金融分野のコンサルティング活動に取り組む中で、身につけたものです。

◇中島：

ユニソンパートナーズでは、どのようなコンサルティング活動をしていらっしゃるんですか？

◆山本氏：

例えば、銀行ですと、住宅ローンのシステムを作る際の設計を手伝います。次期システムはどうあるべきかという前に"次期のビジネス"が何かを一緒に考えるコンサルティングをしています。保険会社ですと、ダイレクトチャネルをどのように取り入れていくか、またダイレクトチャネルと他のチャネルをどう連携させたら良いか、を考えるお手伝いをしています。証券会社では、最近は合併統合が多いので、そのために業務システムどうあるべきか、どのように統合していくかを考えるお手伝いをさせていただいております。

■金融とＩＴは親和性が高い

◇中島：

当社の研修で、「銀行業務研修」や「銀行システム研修」がＩＴ系の方々に人気があることからも、金融業界は複雑でわかりにくいイメージがあるのですが、実際のところどうなのでしょうか？

◆山本：

確かにそうかもしれませんね。でも、金融とＩＴは親和性が高いので、他の業界に比べて理解しやすいんですよ。

昔、私が銀行員の頃やそれよりもっと昔は、お客様は、給料日にたとえば給料２０万円を「現金袋詰めで」受け取っていました。全部お札も硬貨も用意しなければならなかったんです。でも今、皆さんの給与は、通帳に１行文字が入るだけですよね。

お金は、いまや「物」としてではなく「情報」。お金というのはすごく情報に置き換えやすいんです。非常にＩＴと親和性が高いですね。ですから、例えばネット証券なんかも、あれだけブレイクしていきますし、銀行でもいろんなトランザクションも普及しています。

もともと「お金」がＩＴと親和性が高いので、銀行に限らず保険でもノンバンクでも、「金融業界」自体がすごく親和性が高いんです。ですから、若手の方でも、ＩＴ業界の方であれば、簡単に金融のことが理解しやすいといえます。

☆次回も引き続き、山本氏のインタビューをお送りします。お楽しみに！