■求められるリーダー像
環境変化が激しい今日、組織に求められるリーダーは、様々な意見を集約し、合意形成を目指す調整型リーダーではなく、組織の方向性を示し、先頭に立って組織を導く変革型リーダーです。
そのような変革型リーダーが、ある日突然現れるのを待つ「リーダー待望論」ではなく、自社に求められるリーダー像を明らかにし、そのような人材を中長期的な視野で計画的に育成していく「リーダー育成論」に基づいた人事制度を構築する必要性が高まっています。
このような問題意識のもと、30代半ばから40代前半の中堅社員の中から将来のリーダー候補を選び、新規事業の立ち上げ、子会社への出向、海外赴任、社内大学、国内外留学などの機会を候補者に与え、帝王学を学ばそうという人事制度として早期選抜制度があります。
そこで早期選抜制度を導入するにあたっての注意点を考えてみたいと思います。
■早期選抜制度の背景
日本企業はこれまで、異動を通じて様々な業務を担当させ、そこでの実績を競わせながら時間をかけて選抜していくという仕組みを採ってきました。また転職率が低かったため、社内競争は熾烈なものになります。
このような選抜競争を勝ち抜いたトップマネジメントは、従来の会社の仕組みに最も適合してきた人ということがいえます。しか、し今日求められているのは、会社の仕組みを変革するリーダーです。そのため、従来の仕組みに最も適合した人に、その変革を期待するのは難しいという考えがあります。
このため、従来の仕組みの中で時間をかけて実績を競わすやり方ではなく、早い段階で選抜されたリーダー候補者に、育成計画に基づいた職務経験や教育研修の機会を提供し、求められるリーダーを育成する早期選抜制度が出てきたのです。
☆次回につづく!