■目次
【第1回】物流改革のすすめ(今回)
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日常、物流をあまり意識する事は少ないと思いますが、商品企画、販売を物流を知ることなしには考えられないほど、利益・コスト に密接に関わった不思議なビジネス領域です。
特に近年、静脈物流(廃棄物等の物流)、ICタグ等が注目されており、勉強しておいて損な話はありません。
インタビューをお受けいただいたI氏は、知識と行動力を共に持ったビジネスマンであり、
長年、物流の最先端を走られてきた方です。
今回は、ご無理を言って、お話しを伺いました。
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◇質問者、◆I氏
◇私たちの生活にとって欠かせない「物流」ですが、企業にとっては物流にかかるコストをどのように捉えているのでしょう?
◆物を作る会社、物を売る会社、すべての企業が何らかの格好で物流を行っています。
しかし、ほとんどの会社は物流と表面的な関わりだけで、きっちりと物流コストの組み立て方を構築している企業はまだまだ少ないですね。
一般的な物流コストの計算は、トラックなどの輸送手段の直接的なコストや人件費、その他燃料費ぐらいの認識しかないのがほとんどの企業だと思います。
物流コストの計算には様々な取り決め方があります。運送会社との契約も一回一回の契約なのか、月極めや年単位で料金を払うのか、またトラックごと買うのか、どの方法が安くてどの方法が高いのか、その会社にどのくらいの量や頻度の物流輸送があるのか、それらによって一番効率の良い契約の仕方が変わってくるのです。
単に、年間契約が一番安いからといって、それが最良の方法というわけではありません。
頻度・品物・大きさ、一人または二人で運ぶのか、機械を使うか使わないか、コンテナの積み合わせなどの細かな詳細から、その会社に見合った物流方法が求められているのです。
◇現在の企業にとって物流とはどのような位置を占めているのでしょうか?
◆最近の建築業界では建築後のメンテナンスなどの観点に注目して建物を建てているそうです。
例えば、新宿にそびえたつ都庁は先駆的なデザインで話題になりましたが、そのメンテナンスの費用は、実際、造ってからかなり費用がかかることが判明したそうです。窓拭きのコストなどに相当経費がかかり、デザインを重視してしまったために、通常では行えない作業や、危険手当などの人件費が発生してしまったのです。
デザイン段階ではメンテナンスの費用などまったく想定していなかったのでしょう。
物流も以前は同じように製品を運ぶ際の物流コストの観点抜きで、デザインなどを考えてきたのですが、現在は最初の製品開発のところからその製品の物流までを考えるようになってきました。
企業の中で物流コストが環境問題と合わせて無視できなくなってきたのです。
物流の担当者を入れて製品開発のプロジェクトを企業が行っているのですが、そこで具体的に物流担当者に求められることは何かというと、デザイン段階での製品サイズへの物流的な観点から見たアドバイスなのです。
その製品が物流時にコンテナなどに何個詰められるかで、輸送コストが大きく変わってくるのです。
輸送コストを大幅に圧縮できるということは、製品コストを安くすることができるということになります。もしかするとたった5センチ、サイズを変更するだけで、消費者へ低価格で還元できるかもしれないのです。
このように物流が製品価格まで影響してくると、今まで企業にとって製造部門の一窓口だった物流が、部になり、場合によっては事業部にまで拡大し、その会社の重要な位置を占めるまでになってきているのです。
(つづく)