┏───── 今回のビジネスパーソン ──────┓
◇安藤弘一氏(Hirokazu Ando)◇
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(前回のつづきから)
■最後の決め手はチーム力をいかに引き出せるか
"P"の段取りが終わると、次は"Do"の展開です。
"D"において、リーダーに課せられた責務は、組織の持てる力を最大限引き出し、目標を達成することです。
それでは、リーダーは、組織力ないしチーム力をいかにすれば有効に引き出すことができるのでしょうか。あるリーダーは、若い人との飲ミュニケーションが大切であると言います。一見、本質論のようですが、そうではありません。
しかし、多くのリーダーが部下との「飲ミュニケーション」を重視するように、ここに一つのヒントが隠されています。リーダーが、部下の心を掌握し、部下が働きやすい環境を整え、部下の成長を支援する。これが組織力を有効に引き出すための最善の方法です。このための具体的な方法を次に説明します。
■強い組織とは何か
「強い組織をつくる」。
これは、会社における永遠の課題ともいえます。この課題を解決するために、「組織に優秀な人材を集めればいい」と主張する人がいます。しかし、これも、一長一短です。それぞれが活躍できるミッションの大きさがあれば、組織に数多くの優秀な人を集めても機能しますが、ミッションが小さければ、「船頭多くして、船が山に上ります」。
もっとも、多くの会社では、優秀な人材を数多く集めるという贅沢は許されません。「わが社には、いったい優秀な人材が何人いるのか」といった問題が先立ちます。よく言われることですが、会社の人材は、多くの場合、"できる人:普通の人:できない人=2:6:2"の割合で構成されています。
優秀な人は2割しかいないのです。この点を踏まえると、強い組織づくりとは、リーダーが、与えられた人材を活かして、組織力ないしチーム力を、いかに引き出すかという問題に他ならないのです。
会社には、「業績が上がらないのは人材が悪いからだ」というリーダーがいます。しかし、正しくは、「業績が上がらないのは、リーダーとしての部下指導の問題だ」ということです。この点、くれぐれも誤解ないようにお願いします。
「強い組織の2つの条件」。
強い組織をつくるには、2つの条件を満たす必要があります。
1)メンバー一人ひとりが会社や仕事に対して満足感を覚え、
2)一人ひとりが目標達成に向けて、互いに健全な競争意識を燃やしている、
という2つです。
前者の1)については、この考え方を強力にサポートする理論があります。それは、ハーツバーグの動機付け理論です。この理論は、「人々を動機付ける要因には、衛生要因と動機付け要因の2つがある」というものです。このうち、前者の、職場における不快や不満を取り除き、職場環境を衛生的に維持する要因(=衛生要因)だけでは、人々を真に動機づけることはできません。
「人々を真に動機付けるためには、仕事への達成感を味わい、自らの成長が実感できる(=動機付け要因)ように、働きかけなければならない」とハーツバーグが唱えたものです。
この点、リーダーは、部下に、自分自身が成長したこと、会社や社会に貢献できたことを実感させる取り組みを行う必要があります。
後者の2)について、つまり、「メンバーが互いに健全な競争意識を燃やす組織」をつくるためには、「自分の力では競争できない人に競争力をつけてあげること」が大切です。
リーダーは、組織が"できる人:普通の人:できない人=2:6:2"の割合で構成されていることを踏まえて、2割の"できない人"から順に悩みを抱えている部下を重点的にサポートすることが必要です。
このようにして、できない人が成果をあげることができるようになれば、組織内に健全な競争意識が連鎖的に広がります。
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