次に、具体的な人材育成方法を考えたいと思います。
まず育成方法を考える時には、グローバル人材の要件定義とプランを定めること、つまり、グローバル人材を継続的、体系的に育成する仕組みを作らなければなりません。行き当たりばったりの育成では、グローバルに通用する人材育成はおぼつかないと言えます。
グローバル人材の要件については前述した通りですが、社会人の基礎能力を以下のように、細分化して考えたいと思います。
私はグローバル人材に必要な社会人の基礎能力を、以下のように考えています。
1.ものを考える能力(論理的思考能力、概念化能力)
2.文書を書く能力(ポイントをおさえて、簡潔で分かりやすく
書く能力=要約力)
3.1と2がベースになったビジネス・組織におけるコミュニケーション
能力、対人関係能力
4.専門知識を含めた実務能力
5.経営に関する基礎知識(経営戦略、マーケティング、財務会計、
人材と組織など)
6.マネジメント能力
特に1~3については、これらの能力開発を「若いうちに」徹底的に行う必要があります。主任、管理職クラスになってから養成し始めるのでは遅すぎます。新人の頃から継続的に訓練すべきというのが、私の持論です。
問題解決を行う、社内外で交渉・折衝を行う、提案書・企画書を作成する、経営戦略や事業計画を立案するなど、会社におけるすべての業務遂行は、これらの能力に立脚しています。これらの能力が具備されていないと、社会人として将来的に伸びていきません。
特に、上に行けば行くほど重要になってくるのが、概念化能力です。概念化能力とは、大きなフレームワークでものごとを捉えることのできる能力です。この概念化能力は、経営戦略や事業計画を立案する際や組織をマネジメントする際には不可欠です。概念化能力を訓練する簡単な手段は、「ポイント」を列挙する、「ひと言」で表現する、自分なりの「定義づけ」を行うことを、常に意識して行っていくことです。
5の経営に関する基礎知識については、海外で経営の舵取りを行うにあたっては、浅くてもいいから知っておくべきです。仮に会社が機会を提供していなくとも、若いうちから、本・雑誌を読む、通信教育を受ける、セミナーに参加するなど、積極的に自己啓発していくことが望ましいです。実はその前に、新聞を読むことを習慣づけさせることが先決です。私は、新聞を読まない社会人は社会人ではないと断言しています。政治、経済、世の中の動きについて、細かいことはともかく、大きな流れはつかんでおかないと、グローバル社会では通用しません。
6のマネジメント能力については、前述の通りですが、管理職は何をマネジメントしなければならないのかを、整理する必要があります。私は、以下の4点であると定義づけています。
1.業務マネジメント
2.人材マネジメント
3.カネのマネジメント
4.リスクマネジメント
海外では特に、リスクマネジメントを強烈に意識しないといけません。カントリーリスク、労務リスク、契約リスクなど、日本以上にシビアなリスクは多々あります。私は、リスクマネジメントできない人はマネジメントする資格がないと考えていますが、海外では日本以上に、常に大きなリスクにさらされていますので、一度はリスクマネジメントを勉強しておくべきです。
☆この項終わり。次回もお楽しみに!