今回もバーチャルマネジメント研究所のコンテンツよりお送りします。
◇バーチャルマネジメント研究所
上林 憲雄氏(Norio Kambayashi)
英国ウォーリック大学経営大学院ドクタープログラム修了後、
2005年神戸大学大学院経営学研究科教授、経営学博士。
専攻は人的資源管理、経営組織。
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■課長と部長の役割の違い
課長クラスの中間管理職に従事されている方々からよく質問される点の1つに,課長と部長とでは求められる役割にどういった違いがあるのか,ということがあります。課長と部長とでは,地位の違いに応じて果たすべきリーダーシップも当然に変わってきますが,現在,課長職の方が将来的に会社のトップへとなっていくプロセスとして,課長のうちに身につけておくべき能力はどういったものがあるでしょうか。
■内部マネジメントから戦略へ
官民の違いや組織規模にもよりますが,一般的にいって課長クラスと部長クラスとの間の最も大きな違いは,課長がどちらかというと組織内的なマネジメントに携わる比重が大きいのに対し,部長になると対外的な業務に携わる比重がぐっと増し,会社のトップとしての責任が期待されるということです。内的なマネジメントの発想から,全社を見据えた戦略的視点が必要不可欠となってくるわけです。
では,将来的に会社の幹部になることが期待されている課長クラスマネジャーの皆さんは,どうやって「戦略的」なものの考え方を身につければいいのでしょうか。そもそも戦略的な視点とは何で,その根底にあるのはどういった考え方なのでしょうか。
■要因の列挙
全社を視野に入れて戦略を練る際に必要となる重要なポイントは,我が社が直面している課題を挙げ,それに影響していると思われるさまざまな要因を列挙してみることです。できれば,以前このメールマガジンでも紹介したような整理法に基づき,要因間の相互の関連性を考えながら列挙ができればベストですが,とりあえずは考えられる諸要因を全てあげてみましょう。
そのうえで,互いに関連する要因や,ある要因が別の要因の結果として出てきているような場合(階層的に整理できそうな場合)がないかをチェックし,整理してみましょう。そうして,ひとまずはいくつかの要因を列挙しているという形式に整えてみて下さい。
■優先順位を決める
重要なのは,こうしていくつかの要因に整理ができたあとからです。この中で,どの要因が本質的であり,根底の要因であると考えられるかについて,順序づけをしてみましょう。これは難しい作業のように思われますが,実は,この優先順位を付けるという点こそが,戦略的に物事をとらえる際にキーとなってくる考え方なのです。
優先順位を決めるということは,「あれもこれも」ではなく,取捨選択をする,ということを意味しています。全部重要だけれども,敢えてこの中で順位付けをするなら,どういう順に重要度が定められるかを考えることです。「どれは捨てられるか」を考えることだと言い換えることもできるかも知れません。
★次回につづく
◇上林憲雄教授 「日本型経営を支える管理職の役割」
「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方