ダイバーシティ実践 ~マチ子の日記vol.3
突然、自分の母親と同じ年齢の後輩(銀子さん・仮名)が配属され、OJTをすることになった担当者の日記を連載でご紹介します。
目次
- 1.シニア層は話題が豊富で、仕事場“慣れ”している
- 2.自らコミュニケーションの幅を狭めない
1.シニア層は話題が豊富で、仕事場“慣れ”している
こんにちは。銀子さんのOJT担当の台場マチ子(仮名)です。ちなみに、銀子さんは私の母と同じ年齢です。
銀子さんの配属が決まった際、普段の何気ない会話やコミュニケーションがうまく噛み合うか心配しました。私の部署は20代~30代のメンバーで構成されていますが、銀子さんはメンバーの親やそれ以上の世代です。銀子さんと話題を合わせるため、大阪万博や学生運動について調べた方がいいのか、往年のフォークソングを聴くべきか、なかなかどうしようか迷っていたのですが、杞憂でした。
銀子さんは配属初日、こちらの緊張をほぐすように「このトシですけど、この職場では新人なので厳しく指導してください」と頭を下げてあいさつをされました。それがきっかけでコミュニケーションはとてもスムーズです。前向きな姿勢で接してくださるので、私も特別な気遣いはしていません。業務上の指示も謙虚に聞き入れて、作業をされています。
他のシニア層社員にも共通していますが、長年の就労経験のためか職場での在り方がごく自然です。ご自身のこれまでのキャリアをこちらに意識させることなく、ご自身の働き方や役割をしっかり認識をしていらっしゃいます。業務中は多くを口にしませんが、アドバイスを求めたら全力で返してくれるので頼れる安心感もあります。必要以上に気を遣っているのは私たち受入れ側だけかもしれない、と感じてしまいます。
業務以外では、それこそ私の母と同じように毎日体調の心配してくれます。私が「残業が続いた」と話せば私の夕食や睡眠時間を心配をされ、気分転換にチョコレートを差し入れてくれます。
また、お彼岸の過ごし方を教えてくれるなど、今まで職場でされたことがない新鮮な会話が広がります。これまで経験された仕事の話から、趣味の古文書解読まで、銀子さんの話題は幅広く豊富です。若手にはない視点を持つ人がチームにいることは心強くもあります。
2.自らコミュニケーションの幅を狭めない
シニア層の方に、いい意味で上手に甘えることも一つの方法だと考えています。銀子さんには、普段から色々な作業をお願いしていますが、効率のよい判子の押し方や、書籍が煩雑にならないまとめ方など事務作業のコツを教えてもらいました。代わりに(?)私はPCスキルをお伝えしています。
シニア層の方は「よりよい世の中にするためにアドバイスは惜しまない」と考える傾向があるようです。「年上の方と話をするのは苦手だから、私は遠慮しておこう」と勝手な先入観で、シニア層との関わりを逃してしまうと、ビジネスにおいてもせっかくの機会を逃しかねません。「お互いの得意分野を発揮することで、作業効率を上げる」という、人材活用をまさに実感しているところです。