06
自分に期待されているものを押さえ、時間短縮を図るスキルを身につける
個々人が短時間で成果を上げるための仕事の進め方のポイントは
以下の3点です。
1.自分に期待・評価されているものを押さえる
2.仕事のルール・手順を知る
3.時間短縮を図るスキルを身につける
さらに、短時間で組織的な成果を上げるためには、残業を前提とした職場環境を見直す等、管理者の部下に対する意識変革も重要です。
人事部にとって「短時間で成果を上げる仕事の進め方」は、重要な課題です。 例えば次のような場合に、対応を求められることも多いのではないでしょうか。
(1)経営側より、経費削減の一環として、残業を減らして業績を上げるよう
要請を受けた場合
(2)子育てや介護をしながら短時間勤務をするなど、社員・職員の就業形態が
多様化している場合
(3)定年延長における役職定年制や再雇用制度により職種を変更する社員・
職員に教育指導をする場合
短時間で成果を上げる仕事の進め方について、3つの要素に分けて考えてみましょう。
(1)「成果を上げる」とは
第一に、「成果を上げる」とは、自分に期待・評価されているものは何かを明らかにすることです。
具体的には、①重要な仕事が何かを押さえ、②あくまでも上司が期待・評価する成果が何かを押さえることです。自分が成果を上げたと思っているだけでは上司から評価されないこともあります。そのうえで、③自分の役割・立場を考えます。
(2)「仕事の進め方」とは
次に、「仕事の進め方」とは、仕事のルール・手順のことです。
①仕事の全体像を把握し、いつまでに何ができたらいいのか目標・ゴールを明確に定める、②ビジネスの基本となる判断基準(QCDRS:品質(Quality)、コスト(Cost)、納期 (Delivery)、リスク(Risk)、セールス(Sales))を押さえる、③意思決定のために誰が決裁権限者かを押さえ、組織での進め方のルールに従う、④上司とベクトル合わせをするため「ホウ・レン・ソウ(報連相)」を行う。なお、⑤職場風土を知ることも重要です。
(3)「短時間」で進めるとは
最後に、「短時間」で進めるとは、スキルを学び時間短縮を図ることです。
ここでいうスキルとは、①仮説検証によりPDCAで進めること、②タイムマネジメントのスキルを身につけることです。
前者でいえば、計画は具体的、他人のチェックを受け、独りよがりにならないようにしたり、後者でいえば、文書をテンプレート化したり、メールの返信は時間を決めて対応したりすることなどの工夫から、アウトプットを意識し、優先順位を考え、そのために日頃から整理・整頓しておくことです。
労働時間を短くしつつ組織的な成果を上げるためには、管理者の部下に対する取り組み方を変えていくことも重要です。残業を減らして、成果をあげたような組織には、次のような共通点があります。
(1) 職場全体の働き方の意識改革
残業を前提とした職場環境を見直しています。中身や結果に関係なく、残業して残っている人の方が評価が高いという長時間労働が当たり前の職場風土を変えることが重要です。
(2)適切な仕事配分と職務・責任の範囲の明確化
組織で仕事を進める点からいけば、管理者は部下一人ひとりに適切な仕事配分をすることが重要です。そのためには、職務・責任の範囲を明確にすることです。