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アジャイル思考

アジャイル(agile)とは、「素早い」「機敏な」という意味の英語です。元々はソフトウェアの開発手法のひとつで、初めから全工程にわたる計画をきっちり立てて実行するのではなく、まずは小さな単位で試しつつ、修正を繰り返しながら徐々にその完成度を高めていく考え方をいいます。

従来のウォーターフォール型(滝のように落ちる水のごとく、後戻りすることなく次の工程に進める手法)の開発手法は、最初に仕様やスコープなどのプロジェクト要件を固めてから着手します。一方アジャイル型の手法は、初めから厳密な完成形は決めず、おおよその仕様だけで開発を開始します。機能ごとの小単位でPDCAを繰り返しながら徐々に工程を進めるので、途中の仕様変更にも柔軟に対応することが可能です。その結果、初めから完成形を決めて着手するよりもスピーディーに形にすることができます。

近年、プロジェクトマネジメントや新規事業開発、また組織デザインの手法としても、アジャイル思考を活用する動きが増えています。その背景には、当初立てた計画がすぐに陳腐化してしまうような環境変化の激化があります。できるだけ早く形にして世に出すことを優先し、その後、フィードバックを反映しつつ、状況の変化にも柔軟に対応しながら完成に近づけていくというアジャイル思考は、VUCA時代のプロジェクトの進め方にフィットしやすいといえます。組織の意思決定を迅速に行う「アジリティ」の考え方もほぼ同じです。

アジャイル型の組織に移行するにあたっては、現場の意思決定で環境変化に対応できるよう、管理職や現場リーダーへの十分な権限移譲が必要です。そのためには、各チームの動きがバラバラで組織としての方向性がブレないよう、指針となる組織全体のビジョンを明確にしておくのが大前提です。
また、リーダーが仮説→実行→検証のプロセスを高速で行えるよう、OODAループによる判断軸の形成、柔軟な発想力を生み出すコンセプチュアルスキルの強化、変化に耐えうる部下の育成も重要となります。さらに、顧客のニーズや時代の変化にあわせて次々と新たなサービスを生み出すためには、最新のデジタル技術も求められます。

アジャイル組織の考え方は、環境変化が激しい業界や迅速な判断が求められるベンチャー企業、あるいは変革が求められている大企業でも大きな効果を発揮します。予測困難な時代に対応しながら成果を出せる人材の要件としても、アジャイル思考は今後ますます注目されるものと予想されます。

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