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ENERGY vol.07(2021年冬号)掲載

PICKUP

全社員で実現するSDGs・ESG経営

SDGsが社内に浸透しない理由

「社員がSDGsを自分の事として捉えられない」――。これが経営戦略としてSDGsを推進する際、多くの企業が最初にぶつかる課題です。

これまで、日本の企業は「顧客重視」や「安全重視」「利益重視」といった価値観を重視し、社員に浸透させてきました。そうした中で、国際社会の風向きに合わせ、今後は「環境重視」へ舵を切るといわれても、すべての社員がすぐに対応できるわけではありません。

「SDGsの重要性は分かるが、具体的にどうすればいいか分からない」。こうした現場の社員の戸惑いが、結果としてSDGsの推進を滞らせている要因となっています。

会社のトップがSDGs推進のビジョンを描く

このような状況下で経営者が「SDGsを推進せよ」と社員に号令をかけても、思うような進展は望めません。経営戦略としてSDGsを推進する必要性を社内へ浸透させるには、まず経営者や経営層がSDGsを正しく理解し、社会の課題を解決する自社ならではのビジョン(目標)を描くことが大切です。そして目標を達成するための具体的な計画を考えていくことが、全社でSDGsを推進していく第一歩となります。

SDGs推進の評価指標となるESG

SDGs推進の具体的な計画を考えるにあたり、重要となるのがESG(環境、社会、ガバナンス)の視点です。SDGsが「持続可能な世界を目指す目標」であるのに対し、ESGは「持続可能な企業を測る指標」といえます。SDGsを推進するには、ESGの指標に則って自社を運営していくことが必要です。

実際に現代は財務情報だけでなく、ESG対応として開示する「非財務情報」なども加味して、企業価値が評価される時代になっています(「非財務情報」の詳細は10ページ参照)。上場企業に限らず、あらゆる企業がESGの視点で自社の取り組みを世の中に開示することで、自社が「持続可能な企業」であることを広く伝えられるようになります。

社内向け・社外向けESGで全社員を取り込む

SDGsを全社で推進するには、ESGの取り組みを「社内向け」と「社外向け」に分けることが有効です。一般的にSDGsというと、カーボンニュートラルに向けた環境対策といった、「社外向け」の視点が想起されます。これでは一部の社員に偏ってSDGsを推進することになりがちです。そのためESGを「社内向け」「社外向け」に分け、いずれかの、あるいは両方のESGに携わるよう、全社員を取り込みます。

【社内向けESG】持続可能な組織の基盤を作る

社内向けESGは、一例として次のような取り組みが挙げられます。

  • ・ジェンダーによる差別の撤廃
  • ・SDGs関連の認定制度取得
  • ・サステナビリティ委員会の設置

主に自社の中にある課題に焦点を当て対策を講じます。全社員を対象にSDGsの研修や勉強会を行ったり、対策委員会の施策のもと主体的に社員がSDGs推進に取り組めるようしたりして、組織の文化や風土をより良く変えていくことが目的です。

【社外向けESG】自社の事業や他社との協働で社会課題を解決する

社外向けESGは、一例として次のような取り組みが挙げられます。

  • ・環境や人に配慮した商品の開発
  • ・DXによる自社サービス品質の向上
  • ・サプライチェーンと協働してのSDGs推進

前項で述べた『自社の事業で社会課題を解決する』SDGsの本質と、ほぼ同じ意味を持つ取り組みです。

始めることも社外向けESGに含まれます。自社のみで解決が難しい場合は、他社と協働することもあります。近年ではこうしたSDGs活動を拡大する、他社との連携(パートナーシップ)がますます重要になってきています。

階層ごとに求められるSDGs推進スキルを習得する

実際にSDGsを社内に浸透させるには、経営層を含む全社員が、それぞれの立場で必要なSDGs推進スキルを身につけることも必要です。経営層はSDGsを経営計画に取り入れ、推進の中核となる人材が新商品やサービスの開発と販促を担い、現場の社員は主体的にSDGs活動を行うというように、階層によって果たす役割や、求められるスキルが異なります。

階層別に必要となるスキルを、次ページの表にまとめました。このうち経営層は③と④、開発と販促担当は⑦と⑧、現場の社員は①と⑥のスキルが特に重要です。

SDGs/ESG経営を支えるインソースグループの人材育成策

インソースグループでは、「SDGsを、現場の実務にどう取り入れ、持続的な成長・存続を目指していけばよいか」と悩む経営者や人材教育担当の方々に、人材教育の提案とご支援を行ってきました。

SDGs推進の人材育成策として、経営層を含む役員から全社員に向けた3つの研修と、自社の課題に向き合いながらSDGs推進をサポートするコンサルティングサービスをご紹介いたします。

文/北澤 紀大

株式会社インソースコンテンツ開発部部長。東北大学工学部卒。中高生向けの学習塾講師を経て、2009年インソース入社。上場準備やRPA・AI事業立ち上げのフロントに立つなど、組織の変革に関わるミッションを数多く手がける。2019年からメディア事業部部長として、コロナ禍のマーケティング・販促活動に従事。2021年から現職。コンテンツ開発部では、SDGs研修の開発やアセスメント事業の統括を担当。

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本コラム掲載号の記事一覧

2021 WINTER

Vol.07 " 人" づくりから始めるSDGs

vol.7は国際的に注目度が高まる「SDGs」がテーマです。SDGs推進によって企業は「顧客獲得」と「資産向上」という2つのメリットを享受できます。全社員を取り込んだ「社内向けESG」「社外向けESG」によってSDGs経営を実現し、VUCAの時代に勝ち残る方法をお伝えします。

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2024 SUMMER

Vol.14 使えるアセスメント

vol.14は「アセスメント」がテーマです。 人的資本経営の注目により「人」の価値を引き出すことが重視されるようになりました。 客観的に評価・分析することができるアセスメントを活用することで多様な人材が活躍できる人事戦略に役立てることができます。 本誌では、採用、管理職育成など様々な場面でのアセスメント活用方法についてご紹介しております。

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