■これまで一貫してお話してきたことが一つあります。
それは、「企業が欲しいのは『考えられる人材』である」ということです。
論理的に自分の考えを述べることができるのも、しっかりと企業研究をして、自分の志望動機を固めるのも、話に論理性が求められるのも、偏に「考えられる人材」か否かを見るためです。
では、なぜ「考えられる人材」が必要なのでしょうか?「ビジネスシーンでは、判断が求められるから」ということはお話してきましたが、最近は特に、「自分で考えられる」ということが重視されています。
今日はなぜ今、これまで以上に「自分で考えられる人材」が求められているのか、その理由をご説明いたします。
■社会人は成果を求められる
学生の頃は、「結果」と同時に「過程」が求められます。なかなか結果が出なくても、最後まで、諦めずに取り組んだことでその姿勢を評価されます。
しかし、社会人はそうはいきません。会社は、売り上げという成果を上げなければ存続していけません。
また会社を運営していくには年度計画などがあるので、「がんばったら結果的によい成績が出ました」というのではなく、「達成すべき目標」⇒「目標達成のための行動」という行動パターンが必要となります。
そこで企業人として取るべき行動は、「どのようにすれば、望む結果を手に入れることができるのか」これをとことん考え、達成することです。
「できることをする」のではなく、「目標を達成する」ためには、どのように動けばよいのかなど、「考えること」が非常に求められます。
特に年功序列が崩れ、成果主義の導入が進む中で、このような風潮が顕著になってきています。
ですから、昔の日本企業に多かった「結果はともかく、とにかく頑張る」一本やりではなく、「成果」を見越して行動できることが求められているのです。
■作れば(提案すれば)売れる時代は終わった
「考えられる人材」が求められる理由はもう一つあります。それは、産業水準・生活水準の向上によるものです。
少し前、高度経済成長の頃は、携帯電話も、高性能の家電も、パソコンも、廉価でありながら細やかなサービスも、まだ一般的ではありませんでした。
無いものを、現実的な価格で作れば、消費者は飛びつきます。携帯電話が良い例で、ここ数年であっという間に、生活必需品にまで上り詰めました。
しかし、現代は「無いもの」を探す方が大変なほど、物質的に豊かになっています。
足りないものを補うのではなく、充足した中でさらに「ほしい」と感じさせるためには、商品にプラスアルファの「付加価値」を付け、他社との差別化を図らなくてはなりません。
そしてその「付加価値」は、単に良い製品を地道に作ることだけでは生み出すことはできません。
例えばテレビ一つとっても、画面のブレをなくす、色味を鮮やかにするなど、何らかのコンセプトのもと、製品開発を行い、消費者にアピールしています。
この「コンセプト」や、そこから生まれた「ブランド力」こそ、「考えられる人材」が生み出していく「付加価値」なのです。
どの層の顧客をターゲットに、どのような戦術で、いかにしてアプローチしていくか、これらが伴って、はじめて、「頭一つ抜きん出た」会社へと成長することができるのです。
競争が激化する世の中で、採用担当者は、面接に来る学生を自社を更なる成長へ導く存在になれるかどうか、という視点で見ています。
このように考えれば、昨今考えられる人材」がこれまで以上に求められているのも、当然のことといえるでしょう。
「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方