クレームから逃れたいと思うあまり、事実確認が不十分なうちに解決策の提示をしてしまう。
これも苦しいクレームを抱えるご担当者の方の心中を察すると、仕方がないとも思いますが、この「事実確認の欠如」がさらに大きなクレームに発展する第3の要因です。
本日は、この問題について、じっくりと見ていきます。
.。.。・゜*.。.。.・゜*.。.。・゜*.。.。.・゜* .。.。.・゜*.。.。.・゜*.。.。.・
1. 事実確認の不徹底がさらなるミスを生む~「とある花屋での話」
(10時20分すぎに、激しくお怒りのお電話が入る)
お客さま:「私が祖母のために昨日頼んだ『花』がまだ届かない。10時に持ってくるはずだぞ。どうしてくれるのだ!」
店員:「はい、申し訳ございません。大至急お持ちいたします。いつごろまでにお届けすれば大丈夫でしょうか?」
お客さま:「11時までなら間に合う。早くしてくれ!」
店員:「かしこまりました」
(その回答に店員はあわてて対応し、配達して花を届けることになった)
(そして10時50分に「花束」をお客さまに配達)
お客さま:「だれが『花束』を持ってこいと言った!祖母の祥月命日の仏壇に供える花だ!もうお坊さんも来ているのに!まったく、人を馬鹿にしやがって」
(お客さまの怒りはさらに高まる)
この場合、なんとか早くクレームから逃れたいために、事実確認が不十分なうちに「解決策=11時までに『花』を届ける」ことを提示してしまっているのが一番の問題です。「いつ」「どこに」「何を」「どのように」届けたらよいのかを、慌てずに、冷静になって、クレーム時ではない「通常通り」のように対応すれば、このクレームは大きくならずに済んだはずです。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
2. 一次対応者が慌ててはいけない
このように、実はクレームを受けた一次対応者が慌ててしまい、何が起こっているのかをさっぱりつかんでいないことがよくあります。
当然、事実確認がきちんとできないと、クレームは解決できません。
これまで、クレームがきたら、しっかりお客さまの話を「聞くこと」が大切だと述べてきました。それは、「事実確認」にもつながるからです。
事実確認では、「何が問題なのか」「お客さまは何を伝えたいのか」を質問もはさみながら聞きだしていくのがポイントです。
ただし、聞くことが大切だとしても、それが尋問調になったり、事務的であったりしては、さらなるクレームにつながってしまいます。
必ず「おそれ入りますが」とひと言添えるようにしましょう。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
3.「解決策を提示」するためのポイント~お客さまの立場を踏まえる
事実を確認した後は、相手に「解決策」や「代替案」を提示することになります。
ただし、その際もこちらから一方的に提案するという形ではなく、「お客さまのご事情も大変よく分かりました。それでは早速○○と
させていただきたいのですが・・・」というように、あくまでお客さんの側に立って話を進めているという姿勢を見せて下さい。
「解決策」を提示する場合は、社会通念上、おかしくない範囲で、最大限「誠意」を見せます。
自社に非があった場合は、深くお詫びをしたり、新しい商品と取り替えるなど補償を行う必要があります。「解決策」を提示する際には、もったいぶったり、あえて「特別なこと」などとは言わず、さりげなく提案するのが鉄則です。
また、自社に非がない場合や解決策を提示できない場合に、お客さまに「お断り」をする際は、日常で使用する「分かりやすい言葉」で(業界用語・専門用語ではなく)、お客さまが納得されるまで粘り強く説得を行って下さい。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
4. 「お断り」する際の禁句
どうしても「お断り」しなければならない際に、言ってはいけない言葉は、「会社の規則ですから」とか、官公庁などでは「法令、条例で決まっていますから」というものです。
あるいは、「我が社の商品に限ってそのような欠陥は絶対ありません。お客さまの使い方が悪かったのではないでしょうか」というような回答も自社を思ってのことでしょうが、逆効果です。
これらは、いわゆる「供給者の論理」というもので、お客さまの「怒りの炎」に油を注ぐような回答です。
もっとも、こういう回答は現場ではつい言ってしまいがちです。気をつけましょう。