■管理職に求められる役割・スキル
「予算減」「ベテラン社員の大量退職」「外部への業務委託」(派遣社員等の増加)など、職場を取り巻く環境は一昔前から激変しています。それに伴い、以下のように、管理職に求められる役割・スキルも様変わりしました。
・現在の業務を昔よりも少ない人数で、場合によっては外部委託、派遣社員等を活用して、円滑に遂行する。
・予算減・人員減に対応するために、業務効率化を主導する
・クレーム・事故につながるようなリスクを未然に察知し、防止する
このように、現在、管理職に求められる役割は、部下の報告・提案の決裁を行う職務範囲を大幅に超えています。ある意味、「真の管理職」が求められていると言えるのではないでしょうか。
上記の管理職の役割を全うすることが管理職の「段取り力」ですが、そのためには、具体的に以下の能力を備えることが求められています。
(1)部下育成・指導能力
(2)業務管理能力
(3)目標管理能力
(4)リスク管理能力
社会が複雑化・多様化する中で、管理職に求められる上記の4つのスキルに関して、これらのスキルを習得する方法や現場で効果的にスキルを発揮するポイントなどについてお話いたします。
■部下育成・指導能力
(1)指導教育はプロセス評価を基に
仕事の成果だけで、部下を評価するのは好ましくありません。重要なのは、仕事の工程(プロセス)ごとに細かく仕事振りを評価することです。
具体的には、
・仕事を細分化して、業務工程を洗い出す
・工程ごとの業務の成果を「○」「△」「×」で評価する
そうすると、成果の低い部下にも評価できる点(○の評価の部分)があることや、成果の高い部下にも改善すべき点(△・×の評価の部分)があることが判明します。このプロセス評価を踏まえると、個々の具体的な課題点を把握し、きめ細かい指導を行うことが可能となります。
また、部下の実力をつぶさに把握することで、本人に対し、「公平」かつ「鋭い」指摘ができ、上司に対する信頼と畏怖を同時に獲得できます。リーダーシップの強化にも、プロセス評価は有効です。
(2)指導の原点~ほめてから叱る
管理職が多様な部下を抱える現代の職場では、ロイヤリティを維持するのが困難であり、モチベーションの醸成が難しいため、厳しい指導よりもむしろ、「ほめて育てる」ことが重要となってきます。「ほめて育てる」力を身につけるためには、まず「ほめる力」の自己検診をお勧めします。具体的には、「家族や部下に対するほめ言葉」を5分間で思いつく限り書き出してみるという方法です。
もし、10個以下であれば、「ほめる力」が弱いと自覚しましょう。その場合には、日常から意識してほめ言葉を考え、実際に声に出して練習する必要があります。また、部下を指導する際には、言葉に注意する必要があります。例えば、「仕事の仕方が雑である」と直言してしまうと、仕事をする意欲を無くしてしまう部下も多いのです。
そこで、部下を指導する際には、「早く仕事を片付けてくれてありがとう。でも、少しミスがあるね。気をつけてね」など、先に相手をほめて気分良くさせることで、注意をこちらに向かせ、その上で指導したい内容を伝えるという方法が効果的です。
事実をストレートに伝えられないのは大変辛いことですが、マネージャーとして部下指導の際にも「計算して」行動することが求められます。
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