トップページ > 人事のお役立ちニュース > 現役子育て中、働く世代のリアル「その制度、本当に助かっていますか?」~「男性育休を取得したら保育園の退園を迫られた」30代 大手上場小売業 出勤男性の場合
2023年11月17日
共働き世帯は年々増加傾向にあり、令和5年版 厚生労働白書によると、2022年時点で共働き世帯数は1262万世帯にのぼる。
*(参考)「厚生労働省 令和5年版厚生労働白書共働き世帯の増加に比例し、子育てをしながら夫婦ともに働くという家庭も増えている。
そのため、子育てをしながら働き続けるには、子供を保育園に預けたりなど自治体からのサポートが欠かせなくなっている。
本連載では現役子育て中の働く男女に取材を行い、働くことと子育てに対しての会社の制度や世の中のサポートについて、実際に感じていることをリアルに語ってもらった。
今回は都内で大手上場小売業に勤務する30代のフルで出勤している男性に話を聞いた。
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約5年前の第1子が生まれた際、数日間は有給休暇で休みましたが、特別に育休を取得したりはしませんでした。もちろん会社に男性の育児休業制度はありましたが、当時の私は育児をするよりもバリバリ働く方に意識が向いていたので、育休を取るという意識は全くなかったように思います。また、周りにも男性で育休を取得している人は少なかった印象です。
ただ、もし今5年前に戻れるのであれば育休を取得していたと思います。というのも、両実家からの援助がない状態で妻が日中一人で育児をこなすのは大変で、仕事から帰宅後にほんの些細なことで怒られたりなど、家庭に不穏な空気が流れることが多かったからです。職場でうまくいかないことがあった日は、家に帰ってきてからも心が休まらずすべて飲み込むこともありました。
そのため、第2子が生まれた後は半年間育休を取ろうと決めており、実際に2023年2月~7月末まで約6カ月間育児休業を取得しました。
期間を半年間と決めたのには根拠はありませんが、とにかく子供が夜まとまって寝てくれるようになるまでを基準にしました。分割で取得することもできますが、新生児期から半年過ぎるまでしっかり育児に参加したいという思いからまとめて取得しました。
男性で育児休業を取得した社員は社内報で紹介されているのを目にしたことはあります。男性で育児休業を取得したいと考える人は勤務地や職種、役職に関わらず基本ほぼ100%取得することができます。そのくらい取りやすい雰囲気があります。
先ほど申し上げたように、男性が育休を取得すること自体は非常に前向きで取りにくさは全くありませんでした。ただ、復帰後の説明が若干手薄ではありました。
半年間育休を取っている間に社内で色々と変わっていることもあると思うので、スムーズに復帰できるように変更点についての情報共有があるとなお良かったと思っています。会社貸与の携帯電話なども復帰してしばらくたってから支給されたりなど、復帰初日からあると助かると思います。
男性の育児休業を推進することで、社内で男女問わず育休を取得する人が増えるため対応が大変だとは思いますが、復帰後にすぐ良いパフォーマンスが発揮できるようなフォローがあると良いと思います。
子育てでサポートしてほしいのは常に「今」なので、5年10年先に施行される内容の構想を語られても正直あまり助かるイメージが湧きません。また、この数年で状況が変わり、どうせ実行されないのではないかという諦めムードもあります。
また、結局は身近なサポートは市区町村の自治体に落ちてくるので、政府うんぬんよりも自治体の取り組み内容の方がダイレクトに関わってくると感じています。
今回、第2子出産時の育休取得に関して、私たちが住む区の制度で最も納得のいかないことがありました。それは、夫婦ともに2カ月以上育休を取得する場合は、第1子の保育園を退園しなければならないということです。
役所での母子手帳をもらう際の面談でも、父親が半年育休を取得する予定だということを伝えていたにも関わらず、その際に第1子が退園しなければならないという事実を伝えられることはありませんでした。そのためこの決まりについて知らないまま第2子が生まれ、私が育休取得2カ月を超えるタイミングで退園を迫られました。そのため、再度こども園を探して転園することとなりました。
元々第1子は小規模保育園に通っていたため、2022年の4月から別の保育園に転園したばかりでしたが、たった1年でまた違うこども園への転園を余儀なくされ、子供自身も環境の変化が目まぐるしく、私たち夫婦も第2子の育児などに追われて家族全員疲弊しました。
この決まりについて、私たちが直接抗議したことが功を奏したのかは分かりませんが、最近になって撤廃されたそうです。世の中的に男性の育児休業取得を推進しているのに、このような決まりが残っていたのが不思議です。正直対応が遅すぎると感じています。 2024年の4月からは第2子も保育園に通う予定なので、その際に第1子もそろって同じ保育園に入園させたいと思っているのでまた転園になりそうです。
今少子化が問題視されていますが、女性の就業率向上を推し進めるのであれば共働きかつ子育てしやすい環境の整備は急務だと思っています。働きながら子育てをするには保育園などの自治体のサポートが必須です。
今回私たちの保育園退園の件もそうですが、預ける必然があるすべての家庭の子供たちを安心して預けることができ、そして仕事に復帰して社会に貢献する、この望ましい形が保てればさらに良い社会になるのではないでしょうか。
また、男性の育児休業が進んでいる中では、育休を取っているのに家事育児をしない人もいるという話を聞いたことがあります。子育て=女性の仕事という風潮がまだまだ根強いためそのような考えを払拭し、子育ては夫婦で行うものであり、一人で抱え込む人がいなくなる世の中になってほしいと思います。
男性の育児休業が取りやすい企業が増えている。今回のインタビュー対象者も希望通りに育休の取得に至っている。
反対に自治体では世の中の情勢に伴って制度や決まりの変更が追い付いていないように思える。今回は夫婦ともに2カ月以上育休を取得する場合は、子供の保育園退園が求められた件だ。核家族が主流で両実家に子育てで頼ることができないケースも多い現代で、共働き夫婦が身近に頼ることができるのが自治体である。
会社での制度が整ってきている中、自治体も足並みをそろえて制度内容の変更が必要になってきているだろう。
配信元:日本人材ニュース
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