2023年11月20日
AIの発展や普及により、採用業務や人事評価のデータ解析などの人事業務を、AIを使って代替する動きが見られます。AIを活用することでさまざまなメリットに期待できますが、将来的に人事業務はなくなってしまうのでしょうか。
この記事では、人事業務は将来的にAIに代替されてしまうのかについて解説し、今後の人事担当者に必要なスキルについてご紹介します。
AIは、人工知能(Artificial Intelligence)の略称であり、人の知能をソフトウエアに学習させ再現できる技術のことです。過去の経験から予測を立てられ、使えば使うほど情報量が増え精度は高まるため、自動で解析や修正も可能です。
人間が行っていた業務を、AIを用いて代替させることで、人員の削減や生産性の向上が可能となります。これまでは補助的な業務に取り入れ活用されてきましたが、近年では人間でないと難しかった業務もAIが対応できるようになってきています。
AI化によって、将来的になくなる可能性がある職業があるといわれており、そのなかには一般事務も含まれます。AIだけでなく、定型的な入力作業などをロボットで自動化するRPA(Robotic Process Automation)技術も進んでおり、事務作業が軽減されています。そのため一般事務の採用人数は減少していくと予想されているのです。
一方、人事業務は、採用から人材育成、人事制度などを管理する部門です。企業が求める人材を採用し、成長させていく重要な役割があります。また人事部は、社員のモチベーション維持などにも影響する人事制度の構築や運営に携わり、社員の異動や報酬など重要事項を決定させる責任ある業務でもあります。従業員とのコミュニケーションが必要とされるシーンなどでは、人事担当者が行ったほうがよいでしょう。
人事業務にも事務的な作業があるため、採用枠が減少する可能性はあります。しかし重要な役割があるため、人事が完全に無くなることはないと考えられています。
重要な役割のある人事部門ですが、業務の幅も広いためAIに任せられる業務もあります。一例をご紹介します。
採用業務では、応募書類の管理や面接スケジュールの日程調整などに時間が割かれます。AIシステムを取り入れることで、履歴書を読み取ってくれたり、面接スケジュールを応募者と自動で調整してくれたりと、時間が大幅に削減できます。
ビジネスシーンにおけるエンゲージメントとは、従業員の会社への愛着心などを指し、エンゲージメントが高まれば組織が活性化され、業績アップや離職率の低下につながります。たとえば月1回アンケートを実施しAIでデータを分析、従業員の本音や退職リスクを可視化し、エンゲージメント管理に役立てます。
社員の問い合わせ業務にAIシステムを導入することで、業務効率がアップします。人事担当者も問い合わせへの対応時間が減り、社員にとってもタイミングや頻度を気にせず気軽に問い合わせができるようになります。
タレントマネジメントとは、従業員の能力やスキルなどの情報を把握し、配置や育成に活用することでパフォーマンスを最大限に発揮させるマネジメントです。従業員のデータの収集や特性の解析をAIが客観的に行ってくれると、判断する人によって左右されることなく公正な判断ができます。
AIに人事業務を代替することで得られる3つのメリットをご紹介します。
従業員のデータ分析やスキルの可視化など、人間の作業で困難だった業務をAIにこなしてもらえることで、公正な人事評価や効果的な人材教育が可能となり、生産性が向上するでしょう。エンゲージメントの向上と離職率の低下により、人事部以外の部署でも生産性の向上に期待ができます。
AIで人事業務を代替することで、結果的にコスト削減につながるでしょう。定型的な入力作業や単純な日程調整などをAIに代替することで、業務時間の削減が可能となり、コア業務に専念できるようになります。入力作業などではヒューマンエラーを防止でき、データの分析をアシストしてくれるため、業務の効率化が図れます。
労働人口の不足により、一人の業務に負担がかかっているなどの課題を抱えている企業の場合、人事業務の一部をAI化することで、人事担当者の負担を軽減できます。業務をAIが代替してくれれば、人材採用の悩みも解決できるようになります。
AIに頼り過ぎることで、デメリットにつながるケースもあります。たとえば人事評価は大変な作業であるため、評価者がAIに頼りすぎるあまり、社員とのコミュニケーション不足に陥ることが考えられます。またAIに人事評価をされることで、不公平に感じる、不信感を抱く社員が出てくる可能性もあります。
AIが出した分析結果を、なぜこのような結果になったか把握し理解しなければ、AI結果から改善点を探れなくなります。評価者が適切にアドバイスやフィードバックするには、AIに頼り過ぎず責任を持って判断を下す必要があります。 AIシステムは業務のサポートとして活用するとよいでしょう。
人事業務のルーティンワークとなる作業は、AIシステムを導入しどんどん便利になっていくでしょう。将来も人事担当者として継続して働き続けるには、AIで代替できない業務を遂行できるスキルが求められます。今後の人事担当者に必要なスキルをご紹介します。
多くの方と接する機会が多いため、コミュニケーション能力は必須です。学生や従業員との交流、社外の方とのやりとりする機会も多いです。面接などではしっかりと相手の話を伺い、相手に伝わるように説明する力も必要です。さらに会社説明会や研修などで大勢の前で話す機会や、経営陣へプレゼンテーションを行うこともあるでしょう。
企業の経営戦略に沿った、必要な人材の採用や、能力開発、適切な人事異動など、人事戦略のための立案スキルが求められるでしょう。そのためには、企業の経営戦略を理解し、ミッションをクリアするための課題を洗い出し、成果を出すための企画力、解決策の発想力などが必要になります。
人事担当者は、さまざまな変化や突発的な事象に対応しなければなりません。たとえば、テレワークの推進など社会の変化に対応できるよう管理体制を改定する、法令改正のため就業規則などを見直すなど、臨機応変さが求められるでしょう。
マニュアルがあればだれでもできる業務は、AIが代替してくれる可能性が高いです。
人事業務は、AIではなく人が行わなければならない重要度の高い業務があるため、完全になくなることはありません。
しかしAIでの代替が可能な場合や、AIのほうが得意分野である場合には、将来的にAIに置き換わり人事の採用枠が減少する可能性はあります。そのためAIで代替できない業務スキルを身につけておく必要があるでしょう。
配信元:日本人材ニュース
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