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ENERGY vol.14(2024年夏号)掲載

PICKUP

人材アセスメントのこれから

人材アセスメントの変遷

●知識集約型ビジネスには人材こそが成長の源泉となる

昨今、人的資本経営への注目が高まっています。それに伴い、人的資本に関する情報の開示が義務化され、企業はその対応が求められます。
企業を成長させていくために重要なものは「人」ですが、今この「人」が生み出す価値の再評価が進んでおり、「人」こそが、もっとも重要な「資本」であるという認識が広まっています。そのような中で、優秀な人材の確保、リーダー候補の発掘や選抜、適切な人材配置など、人事部門の現場では、戦略的な人事施策の展開がますます求められています。

●「型」にはめることを前提とした人材育成策は時代遅れに

働き方や仕事観の多様化が進む中で、一人ひとりの考え方を尊重し、個々のスキルや能力を最大限に発揮してもらうための環境整備が求められます。これまでのような、すべての人を一律の基準で評価し、「型」に近づけることを前提とした人材育成策は、通用しなくなってきていると言ってもいいでしょう。
こうした点からも、人材に関するデータを上手に扱える組織とそうでない組織では、人材獲得・活用競争において決定的な差が生じてきます。人的資本開示への取り組みと合わせて、様々な観点からの「人材アセスメント」の重要性が高まってくると思われます。

●人材アセスメントは「足切り」型から「個性の発掘」型へ

これまでの人材アセスメントの多くは、採用や昇進段階における「足切り」の手段として設計されており、「標準」に届かない人をふるいにかけることを狙いとしていました。採用枠に対して応募者が殺到するような時代であれば、それでもよかったのかもしれません。
しかし、人材の獲得競争が熾烈化し、また、その人材の活かし方が問われる今の時代においては、人材アセスメントの目的は成長ドライバーとなり得る人や組織の「個性」を探ることに重点が置かれるようになります。

人的資本経営のエビデンスとしての「アセスメント」の可能性

●現状を把握できる具体性のある情報収集が求められる

人的資本の開示だけでなく、DX化の促進やESG経営の推進においても、まずは従業員の現状を把握することが必要だと考える経営陣は多く、具体性のある情報収集を求めるニーズが大きくなっています。
当社でも、ITリテラシーのチェックや、ハラスメントリスクの評価といった、専門特化型のアセスメントへの問い合わせが急増しています。
また、既済のES調査などのデータについても、その分析次第で、貴重な人的資本の再発掘につなげられる可能性があり、再分析の依頼をいただくこともございます。

●自社の実態把握と変化を捉えるための「カスタマイズ」

また、より自社に密着した内容でアセスメントを行うために、設間設計の「カスタマイズ」を行うケースも増えています。従来ならば、他社平均との比較ができなくなる「カスタマイズ」は、御法度でしたが、実施の目的が自社の実態把握とその変化の捕捉に移ってきたことが、その背景にあると思われます。

●「統合報告書」の開示項目にも活用できるアセスメントデータ

アセスメントを通じて集約されたデータは、「統合報告書」における「知財・無形資産人的資本」の項目で開示することもできます。この開示項目は、各社の経営戦略に基づく独自性が求められ、それぞれの歴史・文化を背景にした意志が感じ取れます。

●多様性のある人材開発にアセスメントを活用する

アセスメント結果を開示項目として活用することは有用ですが、それが目的になってしまっては意味がありません。人的資本投資、つまり人材育成に有効利用することが大切です。
様々なバリエーションのアセスメントを実施することで、個人や組織の状況を複眼的に分析することが可能になります。これまで点であった情報が、一気に多元的・立体的な情報として活用できるようになり、それを実際の教育施策にも反映することができるようになります。

●アセスメントをカスタマイズし客観性を高める

例えば、ビジネスパーソンとしての基本的な能力を測定する「新人スキルアセスメント」に、「ITスキル」と「経理スキル」を組み込んだケースがありました。
このケースでは、その測定を「本人」「トレーナー」「同期」の3方面から行うことで客観性を高め、その結果を補習の実施や配属先への情報提供に活用し、きめ細かなケアを行うことができました。

●結果を「データベース化」して将来に備える

アセスメントの結果を従業員を含めたステークホルダーに向けて積極的に開示し、その改善・向上に向けて取り組むことで、人的資本投資を通じた成長の好循環を作ることができます。
この時、集積されたデータを「データベース化」できるかどうかが課題となります。「減らない財」であるデータの特性を捉え、徹底的に活用することを意識することが、付加価値を再生産し続ける上でのカギとなります。

●属性だけに依らない逸材発見ツール「giraffe」

当社では、自社開発のアビリティ分析アセスメント「giraffe」を活用し、性別、年齢、学歴などに依らない優秀人材の採用を行っています。
具体的には「giraffe」の評価項目のうち、エネルギーを測る項目を一定レベルで満たしている方は、無条件に最終面接に進んでいただくという「エナジー採用枠」を設けています。5年前の新卒採用から実施をはじめ、現在は中途採用にも対象を広げています。こうした独自の基準に沿った人材の採用や配属といった形でも、カスタマイズ型アセスメントは活用できます。
いずれにしても、早い段階から取り組むほど、より有益なデータを積み重ねることが可能になります。

文/浅井 康平

株式会社インソース ITサービス事業部 データ戦略グループ マネージャー。埼玉大学工学部卒業。大学在学時人材コンサルティング会社立上げに参画。大手サービス会社の人材開発部門責任者として人事全般に従事。2018年介護事業のDX戦略立案に関わる。2019年インソースに入社し、人事部部長、コンテンツ開発部部長を経て、2022年6月より現職。

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Vol.14 使えるアセスメント

vol.14は「アセスメント」がテーマです。 人的資本経営の注目により「人」の価値を引き出すことが重視されるようになりました。 客観的に評価・分析することができるアセスメントを活用することで多様な人材が活躍できる人事戦略に役立てることができます。 本誌では、採用、管理職育成など様々な場面でのアセスメント活用方法についてご紹介しております。

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Vol.15 日本最大級のLMS

Vol.15は、eラーニングシステム/LMSの「Leaf」がテーマです。 当社最新のLMSである「Leaf Lightning」に焦点を当て、なぜこのシステムが日本企業の教育に適しているのかを、 導入企業のインタビューと、約10年前に描いた、当システム開発の背景を基にお伝えします。 LMSの活用事例も多数紹介し、教育のDX化を行うための情報が詰め込まれています。

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