クレームは決してなくなりません。これはあらゆる業界を通じて共通しています。日常的に発生するクレームの多くは、一定の手順を覚え、お客さまの心情を理解し、冷静に対応すれば、必要以上にあわてる必要のないものです。それどころかしっかりしたクレームの「作法」を身につければ、クレームを自分の味方にすることもできます。
今回の改訂では、「お客さまとの円滑なコミュニケーションの方法」や、みなさまからのご質問の多い「激しく正当性を主張されるお客さまへのクレーム対応」「クレームeメール対応」を新たに追加しました。前回の読者の方にも、初めて本書を手にされる方にも、新しい気づきを得ていただけることと思います。この出版を記念いたしまして、その本の一部をメルマガにてご紹介いたします。
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●事例● 電話連絡が遅れてクレームに
「頼んだのと違う商品が送られてきた」とお客さまから電話が入りました。その商品の担当者が不在だったので、「のちほどすぐお電話を差し上げます」と申し上げて、電話を切りました。1時間後、「担当者からの連絡がない」とお客さまが激怒して、電話をかけてこられました(通販会社)。
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■誠心誠意の謝罪のあと経緯を説明
このケースのように、お客さまからのクレームの対応が遅れると、必ず、二次クレームが発生してしまいます。こうなった以上、お客さまに対する誠心誠意の謝罪が最優先です。
「お待たせして誠に申し訳ございませんでした」と、誠心誠意の謝罪を最優先にしましょう。
「○○の状況にあり、お電話を差し上げることができませんでした」と、なぜこのような事態になったのか、お客さまに対応の経緯を伝えることは、そのあとにすべきです。
■「すぐに」と言ったら5分以上待たせない
クレームを申し出たお客さまはずっと電話を待っているものなので、すぐに電話をすると聞いて、5分以上待たされると、「遅い」と感じてしまいます。担当者が不在であった場合や、対応ができなかった場合でも、いったん5分後にお電話し、現在の状況をお知らせするのが得策です。
クレームにかかわらず、お客さまの時間感覚は、おおよそ次のようになっています。この時間以内で対応すべきです。
・「すぐに」「ただちに」=5分以内
・「のちほど」=30分以内
・「後日」=2日(48時間)以内
ただし、「あとで」「すぐに」という表現は人によって長さの感じ方が違うため、お客さまにお電話をかけ直す際には誤解を避けるために、「○分後におかけ直しいたします」「○日後にご連絡させていただきます」など、具体的にお伝えすべきです。
■迅速に対応して二次クレームを避ける
対応が遅いことは「お客さま軽視」「クレーム軽視」をあらわします。お客さまからのクレームを聞きっ放しにしていると、二次クレームが発生します。さらにクレームを大きくしないためにも、クレーム対応は自部署の最優先事項とすべきです。対応が迅速であるほど、お客さまは誠意を感じるものです。
また、お電話での対応に限らず、クレームが起こったら、まず現場に急行することも検討しましょう。