キーワードで知る!コンサルの「眼」

 

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奈良時代にもプロジェクト管理があった!!(2)

奈良時代にもプロジェクト管理があった!!(2)

奈良時代、筆で一字一字書き写して複写していたころ、写経は国家の一大プロジェクトとされていました。東大寺の正倉院には、大写経事業を管理するために作成された帳簿がたくさん残っており、先週は材料やテキストを集め、帳簿で物品を管理するところまでの「仕事の流れ」について、ご説明いたしました。


■写経事業の仕事の流れ

4.紙を巻物に仕立てる

さて、経師がお経を書写する紙は、写経所に納入される際は1枚ごとですが(紙の長さ:縦1尺=30センチ、横2尺60センチぐらい)、写すお経の文字は膨大にありますので、写す際には、1枚1枚の紙ではなく、それらを貼り継いで巻物状に仕立てる必要がありました。

この巻物に仕立てるまでの作業は、
「継」(けい):紙を貼り継ぐ
「打」(だ) :紙を叩くことで、紙の繊維をほぐしてツヤを増し、墨が滲むのを防ぐ
「界」(かい):罫線を入れる、という3つの工程がありました。

 
5.経師による写経

経師は、1日に速い人で6千字ぐらいの文字を写経しました(平均3,500字)。経師への給料(布施)は、時間給ではなく、出来高払いで、「布」が与えられました(「布」は諸国から「調」という税金で集められたもので、経師は都の市で、これをお金に換金しました)。

ただ、やみくもに多く写経しても、誤字・脱字・脱行などがあれば、ペナルティーが課され、給料から差し引かれました。誤字・脱字などのチェック(校正)は、「校生」(こうしょう)と呼ばれる人たちによって、初校と再校の2度行われましたが、その際には、写経したお経のどの部分が何文字間違えている(何行抜けている)という細かいチェックとその結果をまとめた帳簿=(「勘出帳」、「勘出」=調べて抽出する)が作成されました(ダブルチェックも奈良時代からありました)。「校生」たちも、「経師」が書き誤ったものを見落とすと、彼らと同様に、その量に応じて、給料からマイナスされました。

このように「経師」と「校生」に、ペナルティーを課し、緊張感を与えることで、作業の正確性が期され、品質管理が行われていました。

また、写経したお経のどれが未校正か校正済みかということについても、先ほどご説明した「案主」というプロジェクトマネージャーによって「校帳」という帳簿で把握され、校正作業の割り振りが正確に行われました。

こうした、綿密な計画と厳密な作業管理、そして経師の血の滲むような作業によって、良質の経典が大量にコピー生産されたわけですが、これらの経典は「鎮護国家」(仏教の力により国を守る)のために、全国の国分寺・国分尼寺の僧尼によって、読経されました。

 
■奈良時代から学ぶ仕事のプロジェクト管理

全体の見積りや、ミスを防ぐ品質管理、作業工程ごとに作成される文書(帳簿)の作成など、現在のビジネスのプロジェクトにみられる仕事の進め方(段取り)の原型は、すでに1,300年前から存在していました。

コンピュータもなく、ほぼ文字だけがテクノロジーというの中で、よくこれだけのプロジェクト管理ができたと思います。現代でも学ぶこと多し、ではないでしょうか。

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