マネージャー(管理職)とリーダーと管理監督者~マネジメントとリーダーシップの違い
リーダーとマネージャーの違いは? と聞かれると、言葉につまってしまう人が少なからずいます。わかっているようで、実は十分わかっていないで使われている用語の代表例です。
インソースの管理職研修や変革リーダー研修などでは、以下のとおり、使用しています。
■マネージャーとリーダーの定義・形式的な違い
マネージャーは、日本語では一般的に「管理職」と翻訳されたとおり、「職務分掌における権限と責任のもとで、組織として何をすべきかというミッションを具体化する役割を担っている人のこと」です。マネージャーは、一般的に組織の指揮命令系統の中で正式な地位・役職として位置づけられています。
これに対して、リーダーは「ビジョンを明確にしたうえ、ミッションを提示し、多くの人を動かし組織を成長させる人のこと」です。この点で、地位や役職とは直接に関係がありません。リーダーシップ(指導力、統率力)があるかどうかという実質的な役割に重点を置いた言葉です。
したがって、マネージャーとしてリーダーの役割を担っている人もいれば、マネージャーではないがリーダーたる人もいます。逆に、マネージャーであるがリーダーでない人もいます。
■マネージャーとリーダーの実質的な違い
では、マネージャーとリーダーの実質的な違いについてみてみましょう。現代のマネージャーは、組織のフラット化により、プレイングマネージャーでなければならないので大変です。
しかし、マネジメントといっても、組織を活用し、担当業務の業績をあげ、人を育てることなどをPDCAによって継続的に回せばよいわけですから、真剣さと熱意があればなんとかこなせそうです。
もっとも、人によっては、「マネジメント」はチェックの色彩の濃い日本語の「管理」と多少ニュアンスが違うと主張します。例えば、ドラッカーは、企業の目的は顧客を創造することであり、マネジメントとは、顧客が満足する財やサービスをどのように提供すべきかを定義し、達成すべき目標を設定し、目標の達成に向けて従業員が一体となって取り組むこと、その結果うまくいったのかフィードバックを行い、再度自社の事業は何かを問い直す一連のフレームワークだと言っています。いずれにしろ、マネジメントというのはPDCAなどのフレームワークに従えさえすれば誰にでもできそうです。
他方、今、世の中で求められているのは、リーダーだと言われています。日本語でいえば、「指導者」とか「統率者」です。ここでいうリーダーは、組織力を使って仕事の目標をそつなくこなす人の意味ではありません。既存組織との軋轢を起こし、現状の延長線ではない変革のエンジン(推進力)になるような人を指します。先を読み、仕事の仕組みだけでなく、新たな仕掛けづくりをする人といってよいでしょう。先見性・独創性のあるビジョンを実現できる人がリーダーです。
場合によっては、マネジメントと反する、勘と度胸と運を呼び込むのがリーダーだという人もいます。あるいは、リーダーの特徴をカリスマ性という掴みどころがないものだと定義することさえあります。もっとも、リーダーも良い事ずくめではありません。指導力や統率力が悪く働くと、独裁になります。
以上から、マネージャーとリーダーの実質的な違いの1つとして、マネージャーは誰にでもなることができそうなのに対して、リーダーは選ばれた一部の人にならざるをえません。
■管理監督者と管理職の違い
なお、管理職とよく似た言葉に、「管理監督者」という用語があります。これは、労働基準法第41条第2号の「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」のことをいいます。
通達によれば、「一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものとされ」ます。
要は、残業とか休日勤務の適用を受けない労働基準法の地位で、マネージャー(管理職)にある人が担っていることが多いようです。