┏───── 今回のビジネスパーソン ────────┓
◇安藤弘一氏(Hirokazu Ando)◇
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■着眼点の整理
「本物の戦略とは、自社の事業に精通し、自社の問題点を把握していれば自ずと具体化するもの」と、すでに説明しました。それでは、この行動指針をいかに実践すればいいのでしょうか。方法は2つあります。
一つは、導入した商品やサービス、あるいは、導入した営業モデル・管理モデルの収益性を徹底して追求することです。つまり、PDCAを徹底的に回すことです。この結果、皆さんは、自社の事業に精通し、自社の問題点を把握して、次なる戦略につなげることができるのです。
もう一つの方法は、「尊い利益」に着目することです。"尊い利益"を増やすために、また、減らさないためにという観点から自社の事業に精通し、問題点を把握して、戦略につなげるのです。
■「尊い利益」に着目して事業に精通する
前項で説明した2つの方法のうち、前者(=PDCAを徹底的に回すこと)については、皆さんも、会社のなかで好事例をたくさん見てきているはずです。ここでは、後者(=「尊い利益」に着目すること)について内容を深めます。以下に、8つポイントを掲げます。
<なぜ、わが社は存在しているのか(なぜ、わが社は売上高を立てることができるのか)>
利益を確保するためには、十分な売上高が必要です。売上高がなければ、利益も生まれませんし、会社も存続できません。この点、会社が、なぜ売上高を立てることができるのかをしることは重要です。
ある製薬会社の社長が、「わが社は、特許があるから存在している」といっていました。
つまり、製薬会社は、新薬開発→特許取得という図式のなかで、売上高と利益が確保されているというのです。
このように、製薬会社にとって、いい特許を取得することが生命線であるわけですが、社長は、もちろん、その前提として、新薬開発に競争力がなければ会社は存続できないといっているのです。
会社の存在理由がわかれば、つまり、なぜ、売上高があるのかを知れば、必ず戦略が描けます。
たとえば、皆さんの会社の売上高がたった5社の顧客で8割構成され、100社の顧客で2割構成されているとしましょう。この5社のうち、2社が他の業者に取引をくら替えするとしたらどうするのですか。
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<マーケット分析の3要素(=規模、成長性、競合の状況)を知ることは基本中の基本>
損益分岐点分析が示すとおり、利益は、売上高の少しの変化によって、相対的に大きく変化します。
このため、会社は、損益分岐点売上高を超えて、売上高を少しでも多く伸ばすことを基本動作においています。
この観点から、皆さんは、まず、マーケットの規模、成長性、そして、競合の状況をしっかりと掌握しなければなりません。売上高をどれだけ伸ばすことができるのか、また、それがどれほど容易いのか、難しいのかは、これらの3要素に大きく左右されるからです。
<わが商品・サービスは、どこまで、時間、空間、文化を超えられるのか>
マーケット分析の3要素を理解したあとは、自社の商品やサービスに目を転じます。自社の商品やサービスは、その仕様や売り方を少し改善することによって、売上高をどこまで伸ばすことができるのだろうか。ライフサイクルの延伸についてはどうだろうか。また、未進出の地域や国への進出についてはどうだろうか。このように、自社の商品やサービスについて、時間、空間、文化を超えた拡大可能性を探ることは、既存投資の有効活用になるばかりではなく、新商品や新サービスの開発の引き金にもなるのです。
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■インタビューの続きはWebサイトで
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※最終回となる次回は、「最後に、"尊い利益"を生むための発想術(2)」というタイトルでお届けします。お楽しみに。