■素材は良いのに、「個性がなく、態度は良くない」ように見える来年の新人
多くの組織において来年度の採用活動もずいぶんと落ち着いてこられた頃だと思います。それでは、すでに内定を出された来年の新人(内定者)には、どのような傾向が見られるのでしょうか。
採用から内定後という短い期間ではありますが、ご担当者さまの印象に残っている内定者の様子をきいてみました。
ご担当者さまからは、総じて今年の内定者は、「素材としては」例年にないほど良いといったお声をいただきました。厳しい就職活動をくぐり抜けてきただけあって、非常に優秀な方が多いようです。これは楽しみですね!
しかしながら、表に出てくる雰囲気・態度については、手放しで歓迎できないとお考えの方が圧倒的でした。
ご担当者さまの回答で多かったのは次の3点です。
1.「おとなしく個性がないようにみえる」・・・30%
2.「社会人スキルが低い」・・・23%
3.「態度が悪い」・・・15%
多くのご担当者さまが、内定者に目立つところが見出せず、個性がないと考えていらっしゃいました。空気を読もうとしているのか、単なる人見知りなのか、何事にも慎重な様子が見られるようです。
社会人スキルについては、低くて当たり前といえば当たり前なのですが、わざわざこの項目を挙げる方が多かった、ということは、学生時代に身につけるべき(ヒトとしての)常識も備わっていないということかもしれません。
さらには、態度についても鋭いご指摘がありました。「慎重で、自分の実力を低く見積もっているのに、態度だけは大きい」「失敗を恐れ、でしゃばることをしないが、態度は良くない」
個性がないように見える、おとなしそうにみえるという特徴とは背反するように、態度の悪さだけは目立つという結果になっています。
■ご担当者さまが望む入社までの備えとは
そんな内定者に対して、入社まで準備して欲しい・鍛えて欲しいこともご回答いただきました。結果は次の通りです。
1.社会人の心構えを身につけておいて欲しい・・・30%
2.PCスキルなど基本スキルを勉強しておいて欲しい・・・20%
3.精神力を鍛えて欲しい・・・15%
4.チームワークができるようになって欲しい・・・15%
最も多かったのが、「社会人が持つべき心構え」へのご要望です。前述した通り、社会人スキルの低さは多くのご担当者さまが課題として挙げられています。しかし、これについては、実際にビジネスの現場に出ない事には、どのようなスキルがどのような場面で役立つのかも良く分からず、習得するのは難しいかもしれません。
しかし、社会人としての心構えは、「学生と社会人との違い」を考える事で、だいたいのイメージを持つ事ができます。その中で、相手の立場で物事を見ること、周囲から見た自分の行動を考えること、などの多面的な視点を養う事ができます。
それにより、自分の態度や弱点などを洗い出す事も可能です。具体的なビジネスの場面は想定できないかもしれませんが、周囲から信頼される人間力のようなものは養うことができるのではないでしょうか。
また、PCスキルや資格試験準備など、自分で勉強できる事柄は、しっかりと勉強して欲しいという声も多く聞かれました。特にエクセル・ワードといった基本的なPCスキルは、現場配属後に本人だけでなく、OJT担当者を含む周囲の人間が困るという事態が多く発生しているようです。書籍もたくさんありますから、最低限の知識は身につけておいて欲しいものです。
この場合、有効なのは、業務のどのような場面でエクセル・ワードを使用するのかが、事前に分かっていることです。学生時代も表計算や論文作成などで、これらのツールを使用した経験がある新人も多いはずですが、特に使い方の決まりなどはないため、我流の使い方になっている恐れがあります。
ビジネス文書を作成することが多いなら、「わが社のペーパーは全て明朝体で作成される」「ページ設定の余白は右○○mm.・・・」といった細かなことから教えてみてはいかがでしょうか? 「明朝体ってなに?」と思う学生は、殆ど基本スキルがないということに気づくことができます。それによって、自分が何を勉強すればよいかが、ある程度明確になると思います。
これから、内定者への課題や研修の実施を予定されているところも多いと思います。その計画立案の際に、今回の内容が少しでもお役に立てれば幸いです。
※次回もお楽しみに!
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