■課題解決のための手続き
会社における課題解決活動は、 "問題の発見⇒目標の設定⇒原因の究明⇒手段の選択⇒実行と結果" という流れから形成されています。問題の発見から原因の究明までを問題発見プロセス、問題を解決するための手段を選択するプロセスを意思決定プロセス、選択された手段を実施して高い成果に結びつけるプロセスを実施プロセスといいます。
皆さんは、これら3つのプロセスをしっかりとこなして、尊い利益を確保しなければなりません。会社価値の最大化に向けて、絶えず、前進しなければなりません。このために、私は、皆さんに3つのクセをつけていただきたいと思います。
■意思決定グセ
会社に入ると、最初は誰でも、上司から指示を受け、これに一所懸命応えようと努力します。これが入門時の姿勢です。しかし、いずれかの時点で、皆さんは、このような"指示待ち人間"から脱し、自ら意思決定して実行できるという"意思決定人間"へと転換しなければなりません。皆さんが"意思決定人間"へと早く転換できれば、さまざまな経験をより多く積むことができ、成長が促進されます。
しかし、この転換に高い壁があるのも事実です。意思決定には、多くの情報と判断力が必要になるからです。このため、人は"指示待ち人間"でいる方が、ずっと楽かもしれません。しかし、皆さんは、これを乗り越えて、"指示待ち人間"でいるよりも、"意思決定人間"になることの方がもっと楽しいことを味わわなければなりません。皆さんが、"意思決定人間"になれるかどうか。これは、日ごろの"意思決定グセ"にかかっています。
皆さんは、「どうしましょうか」と上司に尋ねるのではなく、「このようにしたいのですが、よろしいですか」と上司に了解を求める姿勢を持たなければなりません。
また、判断がつかないときは、「A案か、B案かで迷っています。それぞれ利害得失があるのですが、部長は、いかがお考えですか」と、複数の案を示しながら、上司に相談しなければなりません。
「意思決定の中心に自分がいて、相談し、了解を求める対象に上司がいる」。皆さんには、この認識と行動が不可欠です。これが"意思決定グセ"を励行するということです。
皆さんが、意思決定に悩んだとき、いい対処方法があります。それは、"フォアザカスタマー、フォアザカンパニィーの精神"に徹することです。
ある社長が「お客さまと会社の立場に立って徹底的に考え、決断を下せば、失うものは一つもない。この安心感が自らの意思決定に勇気と自信を与えてくれる」と説いています。実際、多くの経営者が、この"フォアザカスタマー、フォアザカンパニィーの精神"に助けられ、成長してきました。
皆さんは、この"フォアザカスタマー、フォアザカンパニィーの精神"が、先に説明した"会社経営の本質"に根ざしていることにも留意してください。つまり、"会社経営の本質"の3つの要素である (1)尊い利益の確保、(2)顧客志向の重視、(3)変革とスピードの重視に照らして意思決定すれば、これは、"会社価値の最大化"を念頭においた意思決定であるということです。