働き方改革の課題と実現方法
近年、多くの組織が働き方改革に向けて、「時間外労働の削減」に取り組んでいます。
当社にも、働き方改革に関するご相談を多数頂戴しておりますが、ご希望のテーマとして一番多く伺うのは、やはり「タイムマネジメント研修」です。
もちろん、時間に対する意識を変えていく必要はあるのですが、実はそれ以前に、もっと本質的な課題が潜んでいる可能性もあります。はたして、一人ひとりに足りない能力は「タイムマネジメント」なのでしょうか。
今回は、個人の課題を見つけるヒントになる「一人ひとりの意識がけ」から働き方改革を着実に実現するための5ステップをご紹介します。
■STEP① 事務ミスや手戻りを減らす
大量のショートカットキーを覚えたり、締切より早く成果物を提出できたとしても、自身のミスや手戻りが多くては逆に時間がかかり、生産性が上がりません。まずは、業務の進行が滞る要因を1つでも減らしましょう。
<事務ミスや手戻りを減らすポイント>
- (1)ミスの要因を分析し、自身のクセを知る
- (2)指示出しや依頼を引き受ける際に、事前確認を徹底する
- (3)ヒヤリハット事例の共有
- (4)チェックリストの作成
- (5)業務の見直し~廃止・簡素化・自動化・集約化
・オペレーションミス防止・事務ミス防止研修(半日間)
・データ入力事務研修~タイピングと表作成入門編
・はじめての営業事務研修~基本業務編
■STEP② 相手に伝わる文書作成・説明をする
上司への報告や議事録の作成、お客さまへの資料・提案書作成など、ビジネスパーソンである以上、日々文書作成の業務が発生します。
意外と時間のかかってしまう文書の作成ですが、テンプレートを使うなど時間をかけずに効率よく作成することに加え、「文書力(論理性や要約力)」が生産性の良し悪しを分けます。なぜなら、文章力がないと「主語がなく、何をしてほしいのか分からない」「情報が整理できておらず、結論が分かりにくい」など、ムダなコミュニケーションが発生してしまうからです。
以下3つのポイントを押さえることが、文書力向上には欠かせません。
- (1)「誰に」「何を」「なぜ」して欲しいか、という目的が明確な文書を作成する
- (2)分かりやすい文書の組み立て方・ルールを習得し、ムダのない簡潔明瞭な文書を作成する
- (3)必要な情報と不必要な情報を整理し、論理的で説得力のある文書を作成する
・論理的で分かりやすい文書の書き方研修
・ビジネス文書レベルアップ研修~相手が唸る文書の書き方
・分かりやすい説明の仕方研修
・【eラーニング】ビジネス文書(文書作成の基礎・メール、報告書の定型レイアウト)
■STEP③ 自分の仕事を体系的に整理する
事務ミスが減り、分かりやすい文書・説明力を身につけ、多くの仕事をこなすようになったタイミングで、一度自身の仕事を整理していただくことをおすすめします。業務の流れの可視化により、その中に存在する「改善の余地」を発見でき、業務効率化を図ることができます。
<業務の可視化によるメリット>
- (1)仕事の全体像を把握できる
- (2)仕事の手順が理解できる
- (3)仕事の流れを共有できる(共通認識を持てる)
- (4)非効率な業務プロセスを発見できる
- (5)業務プロセス上にあるリスクを洗い出すことができる
業務の可視化のためには、業務フロー作成のための「仕事の体系化スキル」を習得することが求められます。
・整理力向上研修
・業務フロー作成研修
・業務フロー作成研修(半日間)
■STEP④ 社内外の関係者と調整ができ、業務を推進する
STEP①~③を踏まえ、ある程度スマートに自分の仕事を進められるようになると、次にぶつかる壁が「各種調整」です。仕事を進めるうえで、社内外問わず多くの関係者とのやりとりが発生しますが、それぞれの利害は必ずしも一致するとは言えません。そのため、利害を調整して業務を前に進めるための「調整力」が求められます。
自信に特別な経験がなくとも、調整を上手く行うコツを身につけることはできます。以下3点を意識して取り組むことが重要です。
- (1)目標達成に向けたリーダーシップ
⇒相手の立場を踏まえ、一歩踏み込んで相手をリードする - (2)関係者とのコミュニケーション
⇒必要なタイミングで関係者に情報を伝達し、利害調整を行う - (3)あらゆる事務面の準備と進行管理
⇒目標達成を見通し、あらゆる局面をぬかりなく準備し、過不足なく用意する
・調整力発揮研修
・調整力発揮研修 ステークホルダーマネジメント編(1日間)
・調整力研修 ~マネジメント力向上編(2日間)
■STEP⑤ タイムマネジメントで、「個」の業務改善を図る
タイムマネジメントは「自分の業務改善」です。ここまでの「ミス防止の意識づけ」「分かりやすい文書力」「仕事の体系化スキル」「関係者との調整力」など、"個"の能力のレベルアップによって業務への理解が深まり、タイムマネジメントを学ぶことがより効果的になります。
当社のタイムマネジメント研修では、PDCAサイクルの観点から業務を分析することを重視しています。以下にポイントを記載します。
【C・A】
自身の仕事・行動を4つ(考える仕事、こなす仕事、完全に時間を拘束される仕事、少しなら時間を自由に使える仕事)に分類し、その特性に応じて、時間をいかに有効活用するか対策を練ることが大切です。
【P】
計画通りに進めるために、事前に仕事の目的とゴールを明確にします。ゴールは、QCDRの観点で考えるとモレがないでしょう。
QCDRとは......
Quality:製品・サ-ビスの品質 / Cost:コスト / Delivery:納期 / Risk:リスク
【D】
潜んでいる「ムダ」を減らす方法を考えて取り組むことが重要です。
- (1)上司に指示された順に着手している
⇒仕事の全体像を把握して所要時間を見極め、優先順位をつけているか? - (2)以前見つけて保存したデータ資料の保存先が分からなくなった
⇒日付や担当者名など、ファイルのネーミングルールは定めているか? - (3)過去の資料をベースに提案書を作成したら、上司から最新のデータがあると指摘を受けた
⇒勉強会など、職場での情報共有の場を設けているか?
・タイムマネジメント研修~仕事を効率的に進めるための時間管理を学ぶ
・生産性向上研修~仕事の見える化でムダなく成果につなげる
「個」から「組織」の働き方改革へ~STEP①~⑤のクリアで、効果が高まる「業務改善」
「個」の能力向上を踏まえていよいよ「組織」の視点で取り組むのが業務改善です。
STEP⑤のタイムマネジメントで「自分の業務改善」ができてこそ、「組織の業務改善」が効果的になります。
職場の問題点の洗い出しや現状調査・分析を行い、改善のための具体的な企画案を導き出し、実行に移す。これこそが、着実な「働き方改革」実現の道です。"個"の能力向上が"組織"を変革に導きます。
・業務改善研修
・組織のタイムマネジメント研修~管理職の立場から組織の効率化を目指す