【基本手順】
基本手順 【3-1】
前回まで、お客様の話を上手に「聴く」ためのポイントを
お伝えしてきました。実は、「きく」スキルにはもう1つ大事なスキルが
あります。それは「訊く」です(←漢字が違います)。
■「訊く」は事実確認の作業
お客様にお詫びし、お話を「聴く」ことによってお客様の心情を理解
した後は、お客様のお困りの原因を確認し、自社のとるべき対処法を
見極めるための事実の確認を行う必要があります。この事実確認を
怠ると、対応の遅れやさらなる問題を引き起こし、クレームが拡大
してしまいます。問題の原因を曖昧にしたままにしておくと、
見当違いな解決策をお客様に提示してしまったり、二度三度、
同じ問題を起こしてしまうこともあります。
ところが、クレームに直面したSEの多くは、なんとか早くクレームから
逃れたいがために、事実確認が不十分なうちに、解決策を提示して
しまいがちです。事実確認の際は、慌てず、「何が問題になっているか」
「お客様のご要望は何か」を冷静に確認する必要があります。
■こちらの知りたい情報を引き出す
ここでまず使うのが、クレーム対応における、もう一つの「きく」である、
「訊く」技術です。相手の話を100%受け止める「聴く」とは異なり、
「訊く」では、相手の話したいことではなく、こちらの知りたい情報を、
質問によって引き出します。よって、相手の主観をはさまない事実を
明らかにすることができるのです。
■質問する「勇気」
「訊く」ことにおいて、最も重要となってくるのが、お怒りのお客様に
怯まず質問する「勇気」と、前でも述べた「組織を代表する意識」です。
自分が訊かなければ解決しない、という意識を持ったうえで、「何が問題
なのか」「お客様は何を伝えたいのか」を、お客様をナビゲートしつつ
質問することがポイントです。
■相手の常識とこちらの常識をすりあわせる
質問の手順としては、以下のようになります。
・相手の常識とこちらの常識をすりあわせる
・「プロ」に話しているという安心感を持っていただきながら情報収集する
クレーム対応がなかなか解決しない原因の一つに、
「お互いの常識が異なる」ということがあります。
例えばIT業界を例に出してお伝えしますと、お客様は「深夜が受注の
ピークなので、システムが止まると非常に困る」という常識をもって
クレームを申し立てることがあります。それに対してSEは、「通常、
受注のピークは日中だろう」という常識を持っているので、そのように
接することがあります。「お互いの常識が異なる」状態のままでは、
「問題を解決する」という共通の目的があるにも関わらず、お互いの話は
かみ合わないまま。問題の解決まで多大な時間を要してしまいます。
注意深くお客様の話を聞き、自分の情報とすりあわせることが、
解決への早道です。
☆次回に続く。
「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方