クレームは決してなくなりません。これはあらゆる業界を通じて共通しています。日常的に発生するクレームの多くは、一定の手順を覚え、お客さまの心情を理解し、冷静に対応すれば、必要以上にあわてる必要のないものです。それどころかしっかりしたクレームの「作法」を身につければ、クレームを自分の味方にすることもできます。
今回の改訂では、「お客さまとの円滑なコミュニケーションの方法」や、みなさまからのご質問の多い「激しく正当性を主張されるお客さまへのクレーム対応」「クレームeメール対応」を新たに追加しました。
前回の読者の方にも、初めて本書を手にされる方にも、新しい気づきを得ていただけることと思います。この出版を記念いたしまして、今週もその本の一部をメルマガにてご紹介いたします。
─────────────────────────
●事例● 応対者が相手にしてもらえないケース
書類上の手続きミスがあった場合など、窓口で住民の方から激しく苦情を言われたり、苦情のお電話を頂戴することがあります。私が応対するなり、「職員が女じゃ話にならない。男を呼べ」「下っ端じゃダメだ。上司に代われ」と言われて、まったく話をしていただけないことがあります。こうした場合には、「仕事は責任をもってやっております」「上司より私のほうが実務にかかわっておりますので、くわしいお話ができると思います」などとお答えし、相手に安心して話をしていただけるよう努めていますが、それでも話をしていただけないことがしばしばあります〈自治体〉。
─────────────────────────
■「熱意」「プロ感」を出して対応する
性別や年齢に関係なく、自分は責任をもって仕事をしていることを伝えるのは大切です。ただ、言葉で伝えるだけでは十分ではありません。態度、表情、口調などを総動員して、仕事に対する熱意やプロ感が前面に出ている話し方を心がけましょう。
今回の事例では、この点が十分なのかが気になります。鏡を見て話す、応対を録音して自分の声を聞いてみるなど、自分の応対方法をもう一度客観的に再確認し、「仕事に対する熱意」「プロ感」が出ているかを把握すべきです。
■上位者に代わることも考え、メモを取る
明らかにこちらがミスをし、お客さまが強硬に上司に代わることを要求されるなど、やむを得ない場合は上位者に対応してもらいます。
電話でのクレームの場合などには、折り返し、上司から電話をさせる旨を伝えた上で、お客さまにクレームとなった事柄をお聞かせいただくように求めましょう。
また、この際には、「言った、言わない」の水かけ論にならないためにも、相手の話を復唱しながら、しっかりとメモを取ってください。
上司には、そのメモを見せながら事情を説明して、折り返しお客さまに電話してもらいます。
対面応対でメモを取る場合には、お客さまに対して、最初に、「メモを取りながらお話をおうかがいしてもよろしいでしょうか」
と許可を取りましょう。いきなりメモを取り始めると失礼です。そして、あとから読んでもわかるよう丁寧にメモを取り、「きちんと話を聞いている」という姿勢を見せましょう。お客さまは「この人はちゃんと自分の話を聞いてくれている」と感じますので、それだけで怒りをおさめてくださる場合もあります。
また、クレームの核心部分については、メモの文章をご覧いただき、お客さまと問題を共有しましょう。
■メモを取るときの注意点
・小さなことでも正確に記録
・日時・原因を必ず聞く
・質問は簡潔に(お客さまが答えやすいように)
・その場で感じたことも記録する
・お客さまの「生の言葉」も記録
・メモを取ったらその日のうちに内容を整理しておく
☆来週もお楽しみに。