クレームは決してなくなりません。これはあらゆる業界を通じて共通しています。日常的に発生するクレームの多くは、一定の手順を覚え、お客さまの心情を理解し、冷静に対応すれば、必要以上にあわてる必要のないものです。それどころかしっかりしたクレームの「作法」を身につければ、クレームを自分の味方にすることもできます。
◇9/17出版!
今回の改訂では、「お客さまとの円滑なコミュニケーションの方法」や、みなさまからのご質問の多い「激しく正当性を主張されるお客さまへのクレーム対応」「クレームeメール対応」を新たに追加しました。
前回の読者の方にも、初めて本書を手にされる方にも、新しい気づきを得ていただけることと思います。この出版を記念いたしまして、今週もその本の一部をメルマガにてご紹介いたします。
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●事例● 特許情報の開示を要求されたケース
お客さまから、自社開発商品の特許情報についてお問い合わせがありました。その情報は外部に開示できるものではないため、丁重にお詫びしてお断りしました。しかし、「コールセンターはお客からの問い合わせに答えるのが仕事だろ。特許の分にもお金を払っているんだから、聞く権利がある」と主張し続けていらっしゃいます〈メーカーのコールセンター〉。
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■「クレーマー」という言葉を使って身構えない
「クレーマー」や「モンスタークレーマー」という言葉を耳にすることがよくあります。しかし、激しくクレームを申し立てている方を、これらの言葉でひとくくりにして身構えてしまうと、お客さまの事情・ご要望が踏まえられず、お客さまに納得していただける対応が取れなくなります。
こちらが「不当な要求」だと思えるものでも、本当に不当かどうかはお客さまにくわしく話をお聞きするまでわかりません。クレームに対しては、あくまで冷静に手順どおり対応していきます。
■3枚のフィルターをかけて判断
非常に激しいクレームを申し立てられる方は、正当性の主張がきわめて強いのが特徴です。応対者の対応の基本は、お客さまの要求・要望の正当性をどう見分けていくかになります。
実際のクレーム対応では、3枚のフィルターをかけて考えていきます。そのフィルターとは、クレームをおっしゃっている方の話の内容が、
●1枚目...法にかなっているか
●2枚目...理にかなっているか
●3枚目...情にかなっているか
という3枚。これら3枚のすべてのフィルターから漏れてしまうものは、対応のしようがありません。「いたしかたございません」という対応になります。
■「情」の部分から対応していく
ただし、クレーム対応は、3枚目のフィルター「情にかなっているか」から行います。自分が「人」として、相手の主張がわかるかどうかのフィルターにかけるのです。とくに、法律にもとづいて仕事をする自治体の職員の方などに多いのが、クレームに対して、すぐに「理」や「法」で返してしまうこと。「その理屈はおかしい」「法律に照らして間違っている」などです。
しかし、「情」に対して、いきなり「理」や「法」で返すと、話がこじれてしまいがち。「情」に対しては「情」で応えるほうが、状況が好転するケースが多いといえます。「情」の部分で対応したら、お客さまの話の内容が、「理」にかなっているか、最終的には、「法」にかなっているかで対応します。また、クレームが激化すると、組織対応も必要になってきます。
☆来週もお楽しみに。