「『こんなときどうする?』:難しい状況下のコミュニケーショ
ン」の新シリーズは、以下のような内容でお送りしていきます。
(1)エピソード
~その回毎のテーマに関連する、具体的なビジネスの現場での
悩みをご紹介する部分です。ノンフィクションです。
(2)解決策
~コミュニケーションに関する悩みを解決するための方法を具
体的に解説いたします。
(3)トレーニング方法
~さらに、テーマに沿ったコミュニケーションスキルをアップ
するために必要な事柄を解説します。
このような構成で、しばらく連載を続けますので、よろしく
お願いいたします!
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■エピソード
私はよく言えば平和主義者、悪く言えば事なかれ主義者で、相手
がどう思っているかがいつもとても気になります。そのため、お
客様と接する時はひたすらあたり障りのない調子で、相手に合わ
せることに徹していますし、職場での会議の際にも、周囲と異な
る意見を述べたりはせず、できるだけ静かに傍聴しています。
これほど相手の心象を害しないように気を遣っているのに、お客
様からは、「なんか君は頼りないんだよ」、上司からは「君は自
分の意見というものがないのかね」と言われてしまいました。本
当にショックです。今後私はどのようにすればよいのでしょうか。
+ + +
■解決策
「相手がどう思うかを気にする」という言い回しは、言葉だけ
を聞くと相手を思った対応のように感じますが、多くの場合、主
語は自分になっていて、「相手にこのように思われたくない」と
いう警戒感および恐怖感から生まれるものです。概ね相手との関
係に波風を立てたくないという思いを表面上取り繕っただけのも
のです。
ただし、どうでしょうか?冷静に考えると言語で説明されない相
手の本意を100%理解することはできるでしょうか?相手の反応
を極端に恐れて発言しない場合、表面上は穏やかかもしれません
が、相手の内面は
「あいつ何考えてるかわかんないなぁ」
「自分の意見がないひとだなぁ(頼りにならないな)」
というように自分の思いと違う感情を抱かれることが多々あります。
このような場合は、相手の意見をまず聴くことからはじめましょ
う。自分の意見から発言することが怖い場合にはまず周りの意見
を引き出しましょう。その上で、それらの意見に対して同意する
部分と異なる意見を述べましょう。
重要なのはここで終わるのではなく、自分の意見に対して自分か
ら周りに意見や感想を求めることです。そうすることで、相手の
考え方や思いという内部に抱えた感情を表面に引き出すことがで
きます。ここで意見が対立してもなんの問題もありません。
そもそもの想定として、「考え方・意見が全く同じということは
ありえない」ということを肝に銘じておくべきです。異なる意見
をぶつけ合い、一番いい回答をディスカッションの中で見つけ出
していくのです。
はっきりいって、意見が言えない人は出世もしません。ビジネス
の現場では意見を言えない人は必要とされていません。会議の場
などで発言も何もしなかった場合、表面上は何もおこりませんが、
周囲の反応は
「あいつ何のためにいたんだ?」
「今後は必要ないな」
「いてもいなくてもかわらないな」
などと自分の思いとは別の方向に進んでいくことものです。
ですので、この場合はしっかりと自分の意見を伝えるのは「信頼
・信用」を勝ち取ることであることをしっかりと認識して、ビジ
ネスシーンの中では、必ずしも「沈黙は金なり」ではないことを
まずはしっかり認識しましょう!
(つづく)
「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方