■エピソード
お客さまに、複雑なサービスの仕組みを理解していただくのが難しいで
す。私は金融機関の窓口で働いています。契約内容や手続き方法に
ついてご説明させていただく機会が多くありますが、規約の表現や
手続きが煩雑で、お客さまにすんなりご理解いただけません。ときには
お客さまのご不興をかってしまうこともあります。どのように対応させて
いただくべきなのでしょうか。(説明下手な窓口担当者)
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│解決策:お客様視点で「情報」を選ぶ
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(1)一度で説明しようと思わない
前提として、一度の説明で完全に理解いただくことは難しいと考え
ておきましょう。特に、ご高齢の方に説明するには工夫が必要です。
(2)事前連絡の一手間が、後の作業を楽にする
ご提出いただく書類やご印鑑など、手続きに必要なものがある場合
は、前日に電話を差し上げるなどして、予めご用意いただくよう
伝えておきます。お客さまにもう一度お持ちいただく手間が減らせ
ます。
(3)全体像を伝えよう
書類の作成を依頼する、契約書類等をお渡しする場合には、なぜ
必要なのか、何に使うのか(場合によっては保管方法)を説明
します。全体の中での意味や位置づけをイメージできると、お客さまも
理解がしやすくなります。
(4)お客さまを主語にして話す
重要な順に説明する、聞き取りやすいはっきりした声で話すなど、
理解のしやすさを優先した説明を心掛けます。例えば、確認事項が
多岐にわたる場合には、知らなければお客さまにとってデメリット
になるような、重要な点に絞って伝えるようにします。税金など、
期日や金額が重要になってくる説明では、数字に関わる話から始め
ます。
このとき、お客さまにとって最大限のメリットをもたらすにはどうし
たらよいか、考えながら話すのがポイントです。場合によっては、
「もっとも簡単な方法はないかしら」、などと実際に声に出すとよ
いでしょう。お客さまを第一に考えております、という姿勢が伝われ
ば、好意的に説明を聞いていただけます。
(5)アフターフォローも忘れずに
聞かれなくてもお問合せ先(電話番号など)をお伝えしておけば、
お客さまに安心していただけます。
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│体験談:言いにくいことから、逃げてしまったために・・・。
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コミュニケーションが不十分だったために、会社に不利益を与えて
しまった経験があります。
人間関係がまだ充分構築されていないお客さまに商品をご購入して
頂いた際に、説明が不十分だったため、お客さまの入金期日が遅れて
しました。金額や入金期日、リスクなどは非常に重要である反面、
相手によっては伝えづらい話でもあります。そのときは、(伝えにくい)
という意識から、大した説明もせずに「相手が分かってくれるだろう」、
「書面に記載された事項を確認してくれているだろう」と、自分で自分に
言い訳をしながら放置してしまったため、トラブルになってしまいました。
こちらにとって伝えにくい事項は、相手にとってはよりわかりづらいもの
であることを意識して対応していくことが大切です。
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│うまく説明する方法:「流れ図」の有用性
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難しい事柄は、お客さまに説明をする前に、具体的な説明の手順を
「流れ図」に描き起こしてみます。頭ではわかっているつもりでも、
実際に書いてみると、説明の際に留意すべき注意点がたくさんある
ことが理解できます。
(つづく)