IT系の部下を育てるには、「仕事を依頼したら、それっきり」でなく、「理解して、考える」習慣をつけさせたり、報告・相談ができる部下との関係を築くことが大切であるとお伝えしてきました。
今日はさらに、「日常指導のテクニック」として、効果的に「褒める」「叱る」方法をお伝えします。
■効果的な褒め方
「部下のデキが悪くて、褒めるところがない、あまり褒めたことがない」というのでは、上司として力不足です。「褒めること」はその人を認めるということ。「褒めること」で部下の仕事に対する意欲は驚くほど向上します。
褒め方の基本は以下の通りです。
・部下の褒めるべき点を、見た目や行動から意識して見つける
・部下に対し、言葉や態度でタイムリーに褒める
あらかじめ「何を褒めるか?」の事実をつかみ、整理しておきましょう。
部下の褒めるべき点を、見た目と行動の部分に分けて、褒め言葉を増やしておくと効果的です。
また、褒めるときは大々的に褒めるのも効果的です。メールを使って関係者全員に知らせると、部下本人は周囲からも評価をもらえ、さらに意欲が増します。さらには本人以外の部下にとっても、「自分達もがんばろう」という気持ちになれるものです。
■「叱る・指導する」ということの理解
叱る・指導することは、育成担当者の責任です。叱ることと怒ることを混同している人が多いので、注意が必要です。
・叱る(指導する)~相手の成長を願ってのこと(相手の人間性を守ること)
・怒る~自分自身の感情をぶちまけること
ですから、叱る・指導する際のポイントとしては、「相手のため」という姿勢を明確にすることが重要です。
指導した点を改善しないと同じ失敗をすることや、自分やお客さまに危険が発生するなど、改善を求める理由をできる限り明確にします。そうすれば相手も受け入れやすい上に、「自分のためを思って言ってくれている」と感じてくれます。
■「叱る・指導する」の手順
STEP 1 指導する内容について調査・確認をする
指導する内容はできるだけ一つに絞り、あらかじめメモを作成するか、頭の中で内容を整理します。「本当に部下に原因があるのか」を含め、部下の言動や行動の影響を確認し、その原因も考えます。
STEP 2 指導する時はタイミングを慎重に決める
緊急トラブルや、重大な規則違反をした場合は直ちに指導、それ以外は部下に指導の時間を決めさせます。
STEP 3 考え・気持ちを伝え、フォローする
どのような言動や行動について、なぜ指導するのかを、簡潔に話し、反応を見ます。「あなたともあろう人が、そんな言動(や行動)をとるのは残念だ」という気持ちを伝え、その後、自分の経験談(失敗談)や本人への期待を伝え、フォローします。
■「プロセス評価」を心がける
結果だけを見ると偶然の要素でよい結果、悪い結果が出ていることがあります。結果とは別に、まずはそれまでのプロセスをしっかりと確認し、的確な評価をしましょう。
悪いこと(部下にとって報告したくないこと)でも、しっかり報告してくる部下には、"報告した"という行動・事実に対して評価して、ほめるべき点に追加しましょう。
■「褒め上手」「叱り上手」な上司になるために
大々的に「褒める」のは非常に効果的です。しかし、「叱る」時は決して公然と行ってはいけません。できるだけ当事者同士で話し合い、個別に指導を行うことが望まれます。
また、「褒める」時にはメールを使うことは有効ですが、メールを使って叱ったり、指導することは絶対NGです。必ず、直接対話をするように心掛けましょう。
最近の若年層には、失敗や挫折経験が少ない人が時にいます。よって、フォローが適切でないと、「人生で初めて叱られた」という挫折感から、転職を選ぶ可能性もあります。「改善のキッカケ」であると、前向きに考えられるようにフォローしましょう。
次回もお楽しみに。