今回は「ビジネス文書研修」の内容の一部、報告書の書き方についてご紹介いたします。
■報告書の全体構成
報告書には、「形」があります。
まず、おおざっぱに報告書を理解するために、報告書の構成からご説明します。
報告書の構成要素としては、下記の4点です。
<報告書の構成要素>
1.表題 (15字~20字ぐらい)
2.状況説明(「日時」「場所」「人(先方、当方)」「目的」など)
3.内容要旨(打ち合わせ内容など、50字程度×3)
4.詳細内容(ヒアリング事項等、「内容要旨」の詳細説明)
注意すべき点は、「表題は内容要旨の要約」「内容要旨は詳細内容の要約」という3層構造を理解することです。実際、報告書を表題から順に書こうとするから難しいのですが、報告書を詳細内容から順に書いていけば、割と楽に書けます。
なお、詳細内容の構成は以下の通りです。
1.見出し (「小見出し」の要約、10字~15字ぐらい)
2.小見出し(文章の要約、15字~20字ぐらい)
3.説明文 (「小見出し」の内容の説明)
詳細内容にも、同じような三角形のピラミッド構造があります。「見出しは小見出しの要約」「小見出しは説明文の要約」というように、ここでも、下位の文章を先に書いて、徐々に上位の見出しをつけていく作業を順々に実施していけば、楽に書くことができます。
■報告書作成のポイント~「誰に出す?」「何のために書いた?」を考える
報告書は、それぞれ目的にあったまとめ方が必要です。報告書の形式・分量や内容は「誰に」「何の目的で」報告書を提出するのかによって大きく違ってきます。以下、提出する相手別にポイントをご説明いたします。
(1)トップ・役員へ提出する報告書
【内容】大口の商談、大きなトラブル、重大な環境変化、重大な情報(ライバル社の重大な動向)等
【形式・分量】A4用紙1枚程度で要旨のみ(約200字程度)
【特徴】所見は必ずつける。また、すみやかに提出する。
【ポイント】
立場が上の方は忙しいので、少ない文字数で専門用語など極力控えて、わかりやすく書きます。また、経営判断にかかわる内容であることが多いので、報告書はいち早く提出する必要があります。所見をかならずつけ、判断の助言をします(偉い人は現場の詳細なことまで知らないことが多いので、現場担当者の意見をまず聞くことが多い)。自分の仕事が認められ、抜擢されるチャンスでもあるので、気合いを込めて書きます。
(2)上司、先輩など部署内で出す報告書
【内容】商談、業務内容、出張、研修、トラブル、ライバル社の動向等、通常業務における報告
【形式・分量】要旨をA4用紙1枚程度、詳細内容を書く必要があれば、2~3枚作成
【特徴】所見は必要に応じてつける(必要かどうか聞く)、提出は翌日が望ましい。遅くとも数日以内が基本。
【ポイント】
1. まず、報告目的にもよりますが、「簡単に書け」と言われれば、200字以内(要旨のみで可)で書きます。「詳細に知りたい」と言われれば、「要旨」+「詳細内容」の構成で書きます。
2. 組織内の報告書を素早く作成するためには、形式・内容について「前例踏襲」することです。そうでなければ上司に形式を相談してから作成します。
3. 何も指示がなければ、できるだけ詳細に書いた方が後で業務の役に立ちます。特に商談や業務報告は上司といえども、細かい部分が書かれていないと判断できないので、できるだけ詳細に書くと良いです。
(3)お客様に出す報告書
【内容】トラブル報告、調査報告 等、「会社」対「会社」で実施する報告
【形式・分量】要旨をA4用紙1枚程度、詳細内容を2~3枚作成
【特徴】所見は不要。提出は報告期限までに提出する。
【ポイント】
1. 文書形式は2段構えです。要約を1枚作成し、詳細内容を別紙として作るのが基本です。提出先の社内での報告書利用方法を想定すると、この形式が喜ばれます。要約は上司などの立場が上の方へ、詳細内容は現場担当者が必要とします。
2. 形式、内容については、自組織向け報告書の何倍もチェックが必要です。
事実誤認、間違いがあればトラブルになりえ、最悪の場合は訴えられることも考えられます。提出前に法務担当部署の確認を取るなどは常識ですので、自分の判断で勝手に提出しないことが大事です。
3. 加えて、注意を要するのが「儀礼に反しないか」の確認です。相手の心証が極端に悪くなります。
【注意点】
1. 略称の使用は不可((株)は株式会社、通称ではなくフルネームで書く)
2. 名前の間違い(漢字間違い、旧漢字が正しいなど)
3. 役職間違い(本来部長なのに課長とするなど)
その他、「ビジネス文書研修」では、文書の基礎から、Eメールの書き方やメモの取り方等、幅広くご紹介しております。ぜひご参加くださいませ。