■激怒している住民に「ジャブ」を打つ
激怒する住民の声を真剣に聞きながら、少しずつこちらの言い分を伝えていきます。
まずは3分間、こちらの意見は話さず、ひたすら相手の話を聴きます。とにかく住民の胸の内にあるものをすべて出し切っていただきます。肯定的な相づちを打って共感を示します。十分にお話いただいたら、住民の話を整理し、改めて心情理解の言葉をかけます。このように信頼関係を構築していきます。
言いたいことをすべて話していただいたら、少しずつ事実やこちら側の主張を伝えます。相手が怒り出してもめげないようにします。住民はお怒りになりながらも、こちらのお話はよく聞いているものです。叱られても、怒られても、あたかもボクシングの「ジャブ」のように、少しずつ情報を伝えていくのが得策です。
解決策を話し合う必要がありますが、住民の怒りがおさまらない場合は日を改めます。
■「お前では話にならん」と言われたら
対応のポイント1~責任を持って仕事をしていることを伝える
性別や年齢に関係なく、自分は責任をもって仕事をしていることを伝えます。
対応のポイント2~「熱意」「プロ感」が前面に出ている話し方をする
態度、表情、口調等を総動員して、仕事に対する「熱意」や「プロ感」が前面に出ている話し方を心がけます。
対応のポイント3~上位者に代わることも考え、メモは正確に取る
当方に非があり、相手が上司に代わることを強く要求する場合は、上位者に対応してもらいます。その際は、改めて上司に連絡させる旨を伝え、クレームとなった事柄について正確にメモをとります。上司にはメモを渡して事情を説明し、対応してもらいます。
「トップを出せ」というような発言があった場合はもちろん、一定時間(10分~20分)一人の担当者が対応した場合には、上司や別の担当者に交代していきます。そんな対応の中で、住民に「上位者に対応させた」達成感を感じていただきます。
■「訴えてやる」といわれたら
対応のポイント1~
「訴えてやる」と言う住民は、「怒っている」ことがほとんどです。まずは、住民の言い分をよく聞きましょう。
対応のポイント2~
悪意のクレームであれば、対応は全く異なり、原理原則で対応します。悪意のクレームとは、常習や暴力を伴う場合等です。
対応のポイント3~
その場しのぎの返答は厳禁です。すぐに返答できない事柄については、期日を示して日を改めて回答します。どうしても無理なことに対しては、きっぱりと断わることも必要です。
「訴える」と怒ってみせ、名前を聞き出して悪用する手口の犯罪が増加しています。「あなた個人を訴える」と言って名前を聞かれたら、速やかに上司に代わってもらい、慎重に対応します。どうしても名乗る必要がある場合、自分の所属と氏名のみ伝え、その後、本件の経緯を上司、職場の同僚、法務担当部署に連絡します。
■規則上無理な要求を断りクレームになったら
対応のポイント1~「規則ですから」と当方の論理で一方的に強弁しない
当方にとっては、正当な理由があり「ルール」があるのですが、それが、住民のご事情にそぐわないこともあります。そんな場合でも「規則」を盾に取って、「いい加減にしてください。決まりは決まりです。守っていただきます」と強弁することは謹むべきです。「おまえらの勝手な理屈だ」と思われ、住民は態度を硬化させるだけです。
対応のポイント2~住民のご事情をお聴きする
住民には、必ず何らかの事情があります。それをよくお聴きし、その事情を踏まえて対応すべきです。「是非、ご事情をお聞かせください」とまず、問いかけてみます。
対応のポイント3~対応策を一緒に考え、業務のプロとして対応する
この場合、「対応できない」と即座に決めつけず、住民と一緒に対策を考えることができれば成功です。「良い方法はないか」「双方納得できる対策はないか」 プロとしての業務知識を動員し、ベストな解答を探ります。
対応のポイント4~「あなたが言うならしかたがない」に持っていく
残念ながら、いくら考えても住民のご要望にお答えできない場合もあります。そんな時には、「あなたが言うならしかたないね」と思っていただく対応が求められます。「要望は満たされなかった」が「一生懸命自分のために、考えてくれた」「良くやってくれた」「悪いのは規則、対応者は悪くない」と考えていただくのです。必要なのは、「テクニック」ではなく「誠意」です。
☆次週もお楽しみに!