悪意のクレームと言っても、具体的な対応の手順は他のクレームと同じです。しかし、最大のポイントは、自分ひとりで対応しない、悩まないことです。上司と相談し、組織の問題として対応しましょう。
■悪意のクレームか真のクレームかを見極めつつも、まずは聞く
悪意のクレームの多くは、恐喝的です。さらに、あいまいで、執拗かつ反復的でもあります。また、暴力団や右翼との関係をほのめかすなど、最初の段階で直感的に判別がつく場合が多いものです。
注意すべきなのは、悪意のクレームと決めつけてしまうことです。相手に「クレーマー扱いされた」と思われ、クレームをさらに悪化させてしまいます。たとえ相手が「悪意のクレーマー」であっても、他の方と同じように接しましょう。
■冷静に毅然とした対応を
(1)冷静に対応すること
悪意のクレームが1回の対応で解決することはまれです。職場の皆さまが「知恵」と「力」をあわせて、冷静に対応することが必要です。必要以上に恐れず、また、安易な妥協をせず、折り目正しく対応しましょう。
(2)記録は正確に
記録を正確に取りましょう。可能であれば会話も録音しましょう。
(3)違法行為があった場合
どのような理屈を並べても、金品の要求があれば恐喝罪に問うことができます。また、意味もなく電話を繰り返すことも、威力業務妨害罪となります。「もう少し自分たちで対応しよう」と思わず、早い段階から警察と連携をとりましょう。
(4)部署内で情報共有を
担当者ごとに異なる対応をしてしまうことも、悪意のクレームを増長させる原因となります。専任の担当を設けることが一番ですが、それができない場合、部署内での協力が不可欠です。相手に同じ説明を何度もさせることのないよう、「現在こういうクレームがあり、こういう対応をしているところだ」ということを、部署内に伝達しておく必要があります。
■対面(電話以外)で悪意のクレームに対応する場合の8つのポイント
(1)先方のテリトリー(なわばり)には入らない
悪意のクレームに対応する場合、相手の事務所・自宅等、相手のテリトリーには入らないことが基本です(個人宅でも、玄関先で立ったまま話をします)。自分たちの会議室・応接室等で対応しましょう。
(2)数で負けない
これは鉄則です。相手より多い人数で、毅然と対応しましょう。
(3)正確な返答を心がける
その場しのぎで、あいまいな返答をしてはいけません。すぐに返答できない場合は、期日を示し、日を改めて回答します。また、どうしても無理なことは、相手の気持ちに配慮しながらも、きっぱり断るようにします。
(4)書類作成、署名・捺印は絶対に避ける
相手から要求されてむやみに書類等を作成したり、署名・押印することは避けます。
(5)会話の記録を取る
記録はできる限り正確にとります。記録役の人物をたてるのが好ましいでしょう。また、会話の録音もします。
(6)冷静に!挑発に乗らない
どんなことを言われても冷静に対応するように心がけ、挑発等にのってはいけません。
(7)違法行為には警察と連携
違法行為があった場合は、警察と連携(連絡・相談)をとります。どのような理由があっても相手が金品を要求すれば恐喝罪に問うことができます。
(8)相手の要求を簡単にのまない
金銭的な要求があった場合、解決を早めようと安易に従うと、何度も同じようなクレームから金銭を要求されるおそれがあります。自分だけで判断せず、まず上司や法務担当部署と相談し、恐喝まがいの態度をとってきた場合は、速やかに警察に相談するようにします。
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