★広告代理店営業担当者のお悩み
お客様からご依頼のあった「中途採用50名」という目標を達成するため、様々な広告を打ち出しましたが、残念なことに採用数は未達でした。やむなくお客様は、追加広告を実施し、採用者数の拡大を図ることに。結果的に追加発注をいただきましたが、その際、「現在の価格から30%」という大幅な値引きもあわせて要請されました。元々受注金額は採算ぎりぎりの水準なので値引きはもう無理です。
★営業成功のヒント
即座に「無理です」とは言わないのが営業としての誠意。時間をかけて、小刻みな価格提示を行う
このような、どうしても対応できない値引要請を受けた際の対応ポイントは5つあります。
◇ポイント1 即座に「応じられません」とは絶対に言わないこと
お客様は、営業担当者の「誠意」を見たいと考えています。その表現として「値下げしてくれ」と言うのです。ですから、まず、誠意の表現として、「検討してみます」や「がんばります」とお伝えします。間違っても、「無理な要求を出しやがって!」なんてお客さまのことを悪く思ってはいけません。万一、対応できない場合でも、後々の取引につながる負け方をしておきましょう。誠意を持ってお客様と接することです。
◇ポイント2 必ず持ち帰り、上司と相談すること
「応じられない」としても、あるいは「多少なりとも値引きに応じることが可能」としても、不用意にその場で承諾すると、のちのちトラブルの元になってしまいます。ですから、まずは一旦、社内に持ち帰るようにします。その理由は、基本的に、会社として、最終的にいくら値引きできるかの方針を上司とすり合わせる必要があるからです。
◇ポイント3 値引きに応じられるなら少しずつ値引きしていく
多少なりとも値引きに応じられる場合は、採算を見つつ、着地の金額を決めて、万円単位で値引く⇒千円単位で値引く⇒百円単位で値引くというように、徐々に金額を下げていきます。最終的には十円単位での値引きとなります。細かく刻んで金額を提示することで、交渉が決裂するリスクを減らすことが可能になります。
◇ポイント4 時間を味方にする
経験的に私が感じているのは、交渉時間が長くなれば、お客様は「時間をかけたんだし、この会社で購入しよう」という心理になりがちです。ですから、時間を味方にして、交渉していくのが得策です。
◇ポイント5 ご要望価格が出せない場合は「お願い」「お詫び」をする
どうしてもご要望に応じられなかった場合は、「この価格が限界です。今回は何とかこれでお願いします」「せっかく、ご提案の機会をいただきながら、力が及ばず残念です」などとお伝えし、お客様の反応をみます。後に悪い印象が残らないように注意しましょう。
■度が過ぎた値引き要請が続く場合の対応
ただ、度々、無理なご要望をいただく場合には、長期的な利益を考え、お取引を辞退させていただくことも考えましょう。
私は、「一定の利益が取れない取引のお客様は続かない」と考えています。結局、利益が低過ぎると、会社として積極的な気持ちで取引できません。そのため、小さな事でお客様とぶつかったりして、結局、取引が長続きしないことが多々あります。ただし、取引をこちらから解消する際には、上司との相談が必要です。
■冒頭のケースにおける値引要請への最終的な対応方法
さて、冒頭にご紹介したお客様の値引き要請に対する対処法としては、はじめにご提供価格は元々値引きされており、「限界」近くの値段である事実を伝えます。
そして、誠意を込めて、「がんばる」意志を伝え、上司の確認を取るため持ち帰ります。社内でねばり強く交渉した後、「上司に掛け合いましたが、ご希望には届きませんでした」とお話し、若干の値引きを提示します。加えて、お客様には「これ以上、自社では値引きが無理」である旨を伝えます。
それでもまだご納得を頂けない場合は、上司と再度相談し、さらに100円単位で値引き交渉をします。
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