それでは、どのように体系的な育成計画を作成して、グローバル人材を育成していけばよいのでしょうか?
まず、習得項目を、階層別、習得手段別に、どんな能力をいつ、どのように習得させるのかについてのゴールを設定して、継続的に取り組んでいくことです。
習得項目については、ビジネススキル、経営に関する事項、語学、異文化理解、専門知識などがあります。
階層別についてはざっくり、新人・若手層、中堅層、管理職層、上級管理職層、経営層に分けられます(会社によって、階層概念が異なると思います)。
習得手段には、研修、通信教育・E-Learning、語学、海外派遣などが挙げられます。人材は最終的に、OJTを通じてしか育たないので、OJTとOff-JTをうまく組み合わせて、効率的な人材育成を考えていただきたいと思います。
グローバル人材育成体系を作成するに際して意識して欲しいことは、若いうちから様々なことを広く学ばせることです。例えば経営戦略研修は、部長・課長職に実施するようなケースが多いですが、私は、若いうちに通信教育、E-Learningなどで勉強させるくらいの体系にしたほうがよいのではないかと考えています。管理職になってから始めて勉強するでは遅すぎるというのが、その理由です。
また、グローバル人材を多く輩出するためには、できる限り多くの人に、現地で働く機会を設けることが望ましいと考えます。予算との兼ね合いもありますが、若手社員全員を研修生として、短期間派遣するという手法もよいのではないでしょうか(私は銀行時代、短期間の研修派遣を人事部に提案したことがありましたが、結果は受け入れられませんでした)。
本当のグローバル企業になろうと思えば、社内共通言語を英語にすることも考えなければならないかもしれません。英語ができない国、国民であること自体が、大きなハンディキャップになっていますので、この点を克服することは大切だと思います。
最後になりますが、グローバル展開していくうえで重要なのが、グローバル組織をどう考えるかということです。これは、意思決定のスピードアップに大きく関わる重要なポイントです。いちいち日本本社にお伺いを立てるなどしていたら、世界の競争に取り残されることになりかねません。
地域ごとに地域本社(Headquarter=HQ)を置き、現地で迅速に意思決定するとか、現地法人社長に現地の人を登用し、本当の意味での現地化を推進するなどが考えられます。
以上、グローバル人材育成について、その考え方を簡単に述べてきましたが、皆さまには、時既に遅しということにならないように、危機感を持って取り組んでいただきたいと思います。
☆この項終わり。次回もお楽しみに!