【日本人的人事システムの先進性】
日本人的人事システムの先進性 【11】
◇上林 憲雄氏(Norio Kambayashi)◇
英国ウォーリック大学経営大学院ドクタープログラム修了後、
2005年神戸大学大学院経営学研究科教授、経営学博士。
専攻は人的資源管理、経営組織。
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前回,ITの導入によって,中間管理職従事者は種々雑多な仕事が飛躍的に増加したというお話をしました。
■戦略的思考のできる係長
では,こうした種々雑多な仕事内容をこなす必要のある係長は,どのように対応すればいいのでしょうか。ここで役立つのが,以前に紹介した「戦略的思考法」です。
まずなすべきは,自分がこなさないとならない仕事のリストアップです。このリストアップは,あらゆる戦略的思考方法の基本中の基本となるステップです。リストアップするということは,まず自身が置かれた状況や仕事の全体状況を,まず大きく俯瞰してみることを意味しています。
■全体を見ながら優先順位づけ
リストアップが終われば,そのリストに優先順位をつけることが次のステップです。単に時間的な順序づけをせよということではありません。何がより本質的で,また何がその本質事項から派生した些末な事項(しかし,こなさないといけない事項)であるかを考えることです。
場合によっては,ある事項は他の事項の下位に位置づけられるのではないか等,いろいろと思索しながら優先順位をつけてみることです。このステップでは,当然にリストアップを分類し直したり,新たに事項を付加したりといった,知的プロセスが含まれます。
優先順位づけが終わり,ひとまず整理ができれば,あとは1つ1つこなしていくだけです。ただ,1つ1つこなしていく際にも留意すべき点があります。それは,何でもかんでも全力投球というのはダメ,ということです。
■力を抜くことも重要!
学生時代に勉強が良くできた優等生タイプの係長が陥りがちな誤りは,すべてちゃんとできないと気が済まない,中途半端では気持ち悪くて次に進めないことです。
言葉は悪くて恐縮ですが,ビジネスでは,仕事によってはたとえ中途半端であっても,あるいは宙ぶらりんの状態のまま放置しておくことも,重要な1つの仕事の進め方なのです。"できる"係長は,このように,仕事の重要度のランクづけ,力の抜き方(戦略論でいえば「資源配分」に当たります)がよく理解できています。
☆続きもお楽しみに!
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